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textと人生に関するmk16のブックマーク (5)

  • 僕には好きな人が居て、その人はとても弱い人だった。 彼女はとにかく頻繁..

    僕には好きな人が居て、その人はとても弱い人だった。 彼女はとにかく頻繁に泣いた。 「変わりたい」といっては泣き、「自分が不甲斐ない」と言ってはまた泣いた。 僕は彼女の涙に対してどうすることもできなかったし、なにかしようともしなかった。 ただ、彼女は泣いていても真剣に話をすることの出来る人だった。 だから僕も真摯に彼女に向き合って、その話に耳を傾けるようにしていた。 彼女のことを弱いと思っていたのは僕だけで、僕以外誰も彼女の涙を見たことがなかったと知ったのは随分後になってからのことだ。 少なくとも僕の知る彼女は常に自分の弱さに苦しみもがいていて、 ときどき思い出したようにうちに来ては、涙を流すのだった。 ひとしきり泣いた後、彼女は決まって凛とした顔つきになって、「よし。」というのだった。まるで新しい自分にスイッチを入れるみたいに。その瞬間の彼女の顔は今も僕の脳裏に焼き付いている。地獄の業火に

    僕には好きな人が居て、その人はとても弱い人だった。 彼女はとにかく頻繁..
  • 気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな..

    気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな笑みを湛える爽やかな青年と、体調の優れない中年女性がドアノブを握っていた。 女の人の窪んだ目が気味悪かった僕は、青年に近寄って声をかけた。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き僕をくぐらせた。 目の前に広がる、ついさっき見たばかりの光景。 青年と女性とがそれぞれのドアノブを握る部屋に辿り着いた。 わけの分からない僕は、再び青年に声をかける。 「ここはどこですか?」 「ようこそ。ここは裕福な扉です。どうぞ、お通りください」 そう言って、青年は扉を開き再び僕をくぐらせた。 目の前にはついさっき通り抜けたばかりの光景が広がっていた。 三度同じことが続いた僕は今度こそ事情を確かめようと勇んで青年に近づいた。 「どうしてあの女性は体調が優れないのですか?」

    気が付いたら不思議な部屋に立っていた。 目の前には扉が二つ。 にこやかな..
  • ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed

    家族でも恋人でも友人でもいいのだけれど、そういう大事な人を喪ったときの正しい感情ってなんだろう、なんて答えがないことを父の死を契機に僕は十代の終わりの一時期かなり真剣に考えていた。父が死んだとき僕が真っ先に思ったのは、悲しみでも、将来や生活への不安でもなくて、人間なんて簡単に死んでしまうんだな、エロの隠し場所には気を付けなきゃいけないな、というどうでもいいことだったりする。多感な18才だったので悲しかったのは間違いないのだけれど、前年の夏に祖母を亡くした直後ということもあって命が消えてしまう呆気なさに僕はただ愕然としていたのだ。 愕然としたあと僕はムカついた。というのも淡々と葬儀屋と打ち合わせをこなし、葬儀を執り行う母をみて親戚のオッサンどもが「少し休んだらどうだ」とか「泣いたっていいんだぞ」とか「これからの生活はどうするんだ」なんていちいち声を掛けてきたからだ。母のやりたいようにやらせ

    ラブホテルをつくろうと母は言った - Everything You’ve Ever Dreamed
  • 神の子どもたち - 空中キャンプ

    渋谷駅前の交差点、路上に設置されたスピーカーから流れてくるのは、いくぶん抑揚に欠けた男性の声で、その声は「キリストを呼び求める人は救われます」と何度も繰り返していた。たくさんの通行人が行き交う年末の渋谷。強風で、外は寒い。信号待ちをしながら、わたしはふと気がついた。「キリストは罪を赦し、永遠の命を与える」──そう書かれた看板を持って立っていたのは、小学校五年生くらいのちいさな女の子だった。 われわれは親を選択することができない。どのような親のもとに生まれるのかを選び取ることができない。両親は、彼らにとって「善きこと」を子どもに伝えようとするし、そこにはそれぞれの親の価値観が大きく関係してくる。それはときに宗教であったり、ある種の思想であったりもする。親は「善きこと」を子どもに伝える。それはあたりまえのことで、他人があれこれと口をだす問題ではないのだとおもう。 両手でしっかりと看板を支えなが

  • 死滅病棟: ネットカフェ難民にもなれなかった男の末路

    2008年11月16日 ネットカフェ難民にもなれなかった男の末路 ここでは表題の「ネットカフェ難民にもなれなかった男」のことを、仮に荻野光男と呼ぶことにする、この名前は彼の正確な名とは異なっている。このエントリでは、彼について把握できる限りのことをただ単に書いていくだけであり、このエントリには何の未来も無いし、ただ彼の人生の一端が垣間見えるだけで、救われる者は誰もいない。 1 八月三一日、青葉唯石が渋谷のとあるマクドナルドでイー・モバイルを使ったネットの徘徊をしていたところ、一人の男が話し掛けてきた。男は荻野と名乗り、仕事が無いのでそのパソコンで日雇いのアルバイトの情報を検索させてくれと言う。唯石は面白がって、また人を集めるので翌日に再度ここに来て欲しいと告げるとその場でツイッターやらスカイプやら、様々な経路で人を集め、翌日には十数人が集まった。荻野は吃音がひどく、見知らぬ人に囲まれなが

    mk16
    mk16 2008/11/16
    これほどの文学的な文章をネットで見たのは「犬の餓死」以来。→http://anond.hatelabo.jp/20080209222931
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