むか~し昔、電気もない時代に『氷室』と呼ばれる冷凍庫がありました。冬の間に氷や雪を固めたものをそこに保管し、夏に取り出して涼を楽しむのです。 氷室を開く日は、旧暦の六月一日と決められていました。その日を『氷の朔日(こおりのついたち)』、または『氷の節句』といいます。 ・・・・・ ねこ森町のとある山奥の洞窟に、夏でも氷の張った泉があります。入り口には注連縄がかけられていて、ふだんは入ることができません。そもそも場所を知っている猫は少ないのです。 6月1日の夜明け前、氷番に任命された猫たちがこっそり洞窟の泉に向かいます。そうして、泉から氷を少し取ってねこ神社に持って行き、羽巣手戸さまに献上するのです。 今年の氷はどうでしょう。 羽巣手戸さまが味見をなさいます。 氷番はどっきどき。 一番きれいな氷をとってきたつもりなのですが。 気に入っていただけるでしょうか。 がりっ、ぽりぽり。 うまーい!!