世界の指導者は2つのタイプに分かれる。どんな相手とも「話せば分かる」と信じる人と、その逆だ。前者の典型は、オバマ米大統領である。彼に接したことがある政府高官らは「オバマ氏は軍を動かすのをいやがる」と語る。なぜなら、たいていの問題は、話せば何とかなると思っているからだ。そんな彼がついに怒りを爆発させ、対話に見切りをつけたという。9月24日、ワシントンにやってきた習近平中国国家主席との夕食でのこ
大手新聞、テレビをはじめとする国内メディアは、4月24日に開かれた日米首脳会談では「オバマ米大統領が大統領として初めて、尖閣諸島に日米安全保障条約の第5条が適用されると明言した」ことを華々しく報じた。 しかし、これはややピントのずれた指摘といえる。今回の日米首脳会談の注目点はそこではない。むしろ、これまで対中強硬姿勢を続けてきた安倍晋三首相が、オバマ大統領に諌められ、中国との対話姿勢をとって緊張をこれ以上エスカレートしないように促されたことが、重要なポイントだ。 日米安保条約の第5条には、「日本国の施政の下にある領域」が攻撃を受けた場合、米国に防衛義務があることを記している。 大統領が首脳会談後の記者会見で「日本の施政下にある領土は、尖閣も含めて安保条約第5条の適用対象となる」と述べたことから、国内メディアはこの部分に一斉に飛びついた格好だ。大統領が明言したのだから、これで中国が尖閣諸島に
来日中のオバマ大統領が、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることを明言しました。 「尖閣に安保適用」大統領明言=集団自衛権容認も支持−日米首脳会談(2014/4/24 時事通信) 安倍晋三首相は24日午前、オバマ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で約1時間40分会談した。アジア太平洋の平和と繁栄に貢献するため、日米同盟が主導的役割を果たすことを確認。この後に発表される共同声明に、中国が領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島について明記されることになり、大統領は記者会見で「日米安保条約第5条の適用対象となる」と、米国が対日防衛義務を負うことを表明した。大統領が尖閣への安保条約適用を明言したのは初めて。 これまでにも米政府閣僚級から同様の発言は繰り返されてきましたし、2012年末には米国防権限法で尖閣諸島が日米安保条約第5条に基づく責任を再確認すると宣言する条項が明記されており、すでに尖閣諸
(フィナンシャル・タイムズ 2014年4月21日初出 翻訳gooニュース) リチャード・マグレガー、ジョナサン・ソーブル バラク・オバマ米大統領が23日に東京を訪れる。日本政府は、正装の晩餐会や天皇陛下との謁見を含む国賓待遇で、最大級の歓待を用意している。過去20年近く、これほどの扱いを受けた米大統領はいない。ビル・クリントン元大統領以来の大歓迎ぶりだが、しかし長年にわたる両国の同盟関係の未来については懸念がわだかまっており、来日行事の華々しさで完全に隠しおおせるものではない。 日米関係はアジア安全保障の基盤で、さらには半世紀にわたるこの地域の経済成長の基盤でもあった。しかしここ1年間、両国関係は平坦とは言いがたかった。通商交渉の停滞も不仲の要因だし、戦争の記憶を何かというと掘り起こしたがる日本の有力政治家たちの癖も同様だ。 一連の摩擦の根底には、日米のパートナーシップに両国がどれほどコミ
3年5カ月ぶりの来日 オバマ大統領が23日夜に来日する。国賓としてのアメリカ大統領の来日は1996年のクリントン元大統領以来18年ぶりだそうだ。「国賓」カードは、腰が重いアメリカの大統領を日本に呼び寄せる切り札なのかもしれない。 オバマの来日は2010年11月に横浜市で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に出席して以来、3度目だが、3年5カ月余も日本にやって来なかった。 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を嫌って中国に秋波を送ったクリントンも1993年7月から96年4月にかけ2年9カ月余も日本に来なかった。 第1次安倍政権以降、日本の首相が猫の目のように代わった恨みがあるにせよ、オバマの3年5カ月余は相当長い。 どれだけ長いかというと、3年以上、アメリカ大統領の来日がなかったのは(1)アメリカ大統領の初来日となった74年11月(フォード大統領)から79年6月(カーター大統領)
数週間前は欧州の人間でさえ、ウクライナの出来事にあまり関心を払っていなかった。今では全世界が見つめている。というのは、ロシアによるウクライナ侵攻は一般に、米国主導の世界秩序に対する直接的な挑戦と見なされているからだ。 もしロシアのウラジーミル・プーチン大統領が何の代償も払わずに済めば、中国やイランなどの国の政府は、米国に挑むリスクが低くなっていると判断するかもしれない。 ワシントンのバラク・オバマ米大統領の政敵は、大統領はシリアでの武力行使を巡って怯み、イラン、中国との交渉で弱さを見せたと主張する。2008年の大統領選挙でオバマ氏に負けたジョン・マケイン上院議員は、ウクライナ危機は「無気力な外交政策がもたらした究極の結果であり、もう誰も米国の強さを信じなくなった」と述べている。 だが、「弱いオバマ」という物語は大事な点を見落としている。これは、ソ連という頑なな敵との世界的な戦いにおいて歴代
安倍政権への非難に没頭する朝日新聞などの報道を見ていると、いかにもオバマ政権が安倍晋三首相の靖国参拝や歴史認識を理由に日米同盟を軽視し、場合によっては有事の日本防衛の誓約さえ守らないような構図が浮かんでくる。ところが現実はだいぶ異なるようだ。 オバマ政権の対日関係担当の責任者の1人、ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア太平洋問題担当)の最近の議会証言からは、靖国問題などがあってもオバマ政権がなお日米同盟を揺るがせにしない姿勢や、安倍政権の集団的自衛権の解禁を歓迎する態度が鮮明に伝わってくる。ただしその一方で、中国との対決をあくまで避けたいとする対中融和の傾向も顕著だと言える。 日米同盟の重要性を改めて強調 ラッセル国務次官補は3月4日の上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言した。小委員会が開いた「米日同盟、米韓同盟の機会と挑戦」と題する公聴会での証言である。ラッセル次官補の証言は、い
安倍晋三首相による靖国神社参拝以降、ぎくしゃくする日米関係。「オバマ政権は日本軽視」「なぜ中国に付け入る隙を与えるのか」という批判が、今も太平洋の両岸で飛び交う。日本政府関係者は「日米は別れられない夫婦」と関係修復を目指すが、首相側には同盟強化のためコツコツ積み上げた努力が裏切られたような思いがにじむ。日米は首相の「片思い」だったのか。思いが届かない一因は、キューピッド役の不在にもあるようだ。 「日米がいがみ合っていても、喜ぶのは中国だけですよ。『嫌いだ』というだけでは子どもと同じ」 外務省に近い東京・虎ノ門の老舗洋食屋。中堅の外務官僚は、熱々のピザを頬張りながら切々と説いた。普段はワインをがぶ飲みし、こちらが驚くような食欲をみせるのだが、この日はピザの進み具合が悪い。テーブルは不思議な緊張感に包まれている。 この中堅官僚氏自身も、オバマ政権には内心じくじたる思いがある。「あれっ」と強く思
4月下旬のアジア歴訪の一環として、オバマ大統領の来日がほぼ確定したようです。昨年末の安倍首相の靖国神社参拝以来、日米関係はかなり「こじれた」感じになってきていますが、そうした文脈から考えると、今回の首脳会談では目に見える成果としての関係改善が求められます。 これは、オバマ大統領に取っては非常に大きな問題です。現在、アメリカの外交は、スノーデン事件で欧州では「イメージダウン」を余儀なくされる中、シリアやウクライナ問題では「行き詰まり感」が顕著となっています。その一方で「自分が力を入れる」と宣言してきたアジア外交まで行き詰まるようですと、大統領の威信は大きく低下する可能性があるからです。 では、日米関係の改善という場合、この2014年の3~4月の時点では具体的に何をすれば「改善」ということになるのでしょうか? 2つ大きなテーマがあると思います。 1つは、日中関係です。 昨年末の安倍首相の靖国参
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尖閣諸島領海への船舶侵入、防空識別圏の設定など、強まる中国の軍事攻勢に対して日本人の不安が高まっている。いざという時の頼みの綱は日米安保条約だが、最近の米国政府の内向き姿勢が不安を助長している。オバマ政権の中国への宥和的な態度も気がかりだ。一体、アメリカは日米同盟をどうしようとしているのか――。 日高義樹(ひだか・よしき)氏米国のハドソン研究所首席研究員。1935年愛知県生まれ。東京大学英文科卒、59年NHKに入局し、ワシントン支局長、アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大学諮問委員を経て現職。著書に『アメリカはいつまで日本を守るか』(徳間書店)など多数。 「もはや日米安保条約は賞味期限切れだ」。NHKワシントン支局長を務め、長く米国の外交・軍事戦略を取材し、ヘンリー・キッシンジャー氏など米国の政官界に幅広い人脈を持つ米ハドソン研究所首席研究員、日高義樹氏はこう明言する
アメリカのケリー国務長官が韓国と中国を訪問するのに先立って岸田文雄外相が訪米し、ケリー国務長官ならびにライス安全保障担当大統領補佐官などと会談した。ケリー国務長官は岸田外相に対して「日米同盟の強化こそがアメリカのアジア再均衡戦略の鍵を握っている」といった“お決まり”のコメントを述べていた。 日本のメディアの間では、「日米同盟の強化」というのは、もはや両国首脳や外交・防衛当局リーダーが会談した際の決まり文句のような表現になってしまっているが、今回のケリー長官の表明は「中国や韓国に対して日米同盟が強固であることを再認識させたもの」と評価すべきである、と日本に都合の良いように考えたがる向きもあるようだ。 「中国を封じ込める立場を明確に打ち出すべし」 しかしながら、アメリカの「対中強硬派」(軍関係者、研究者)に分類できる人々の多くは見方が異なる。オバマ政権が「アジアシフト」あるいは「アジア再均衡」
米国のオバマ政権内部には軍部も含めて「中国が台湾や日本に軍事攻撃をかけてきても米軍は介入すべきではない」という意見が広まっている――。こんな恐るべき実態が最近の米国議会の公聴会で明らかにされた。 日本の固有領土である尖閣諸島を中国が狙い、領海に侵入しても、オバマ政権は決して正面から抗議しない。まさにその弱腰を説明する証言だった。もちろん日本にとっては深刻な黒雲である。なにしろ日米同盟が機能しない事態が起きうるのだ。 「台湾や日本より中国が重要」と考える人たち オバマ政権内部のこの反戦、厭戦の志向は、1月30日の米中経済安保調査委員会の公聴会で明らかにされた。この委員会は連邦議会の政策諮問機関として、米中経済関係が米国の国家安全保障にどう影響するかを調査する。 この日の公聴会は「中国の軍事近代化と米国にとってのその意味」が主題だった。オバマ政権の政治、軍事、諜報などの各機関や民間の大手研究所
【ワシントン=今井隆】オバマ米政権内で、外交政策に影響力を持つスーザン・ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の中国への融和的な姿勢が際立っている。 訪米した岸田外相との7日の会談では、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が中国の設定した東シナ海の防空識別圏に厳しい姿勢を示したが、ライス氏は言及すらしなかった。 岸田氏はライス氏との会談で、中国の防空識別圏を改めて非難。ところが、外務省関係者によると、ライス氏は「中国との関係は、米国の中でも協力を進めていかなければならないという声もある。協力できる分野もあれば、対立分野もある」と米中関係の一般論にとどめ、防空識別圏の批判を一切口にしなかった。 日米関係筋は「中国を刺激したくないライス氏の姿勢の表れ」と指摘する。
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