アメリカは欧州の安全保障をドイツに丸投げしようとしているが、負担に耐え切れなければドイツはEUを裏切るかもしれない 今年2月に開催されたミュンヘン安全保障会議でとりわけ目立ったのは、欧州の安全保障問題からアメリカが手を引こうとする動きだった。NATO(北大西洋条約機構)へ軍を派遣する以外にアメリカが関与する様子はほとんど見られず、各国リーダーたちの間でもアメリカを抜きにした発言が多かった。 アメリカ政府が優先しているのは明らかにシリア情勢であって、欧州ではなかった。 この動きは、欧米の同盟におけるアメリカのリーダーシップが低下しているという憶測が正しいことを示唆している。また、現在のオバマ政権は欧州のことをあまり気にかけていないという、欧州外交筋や専門家の観測も当たっているようだ。欧州の安全保障におけるリーダーシップの不在は、欧州が抱える不安を増幅させている。近年にない危機的状況の中で欧州