2010年に初当選したとき、あるベテラン議員にこう言われたことを思い出す。「有田さん、国会議員って平気でウソをついていいんですよ」。あぜんとした。総理が解散時期について事実を言わないことはよく知られている。しかしいま問題となっている「加計(かけ)学園疑惑」については本筋の問題から離れても異常な状況が続いていることに注目するのは、どうも「ウソ」が横行していると思えるからだ。 文部科学省の前川喜平前事務次官が、「総理のご意向」「官邸トップの指示」などが記された内部文書を、実際にあったものと証言してからのことである。菅義偉(よしひで)官房長官は正式の記者会見で、この文書を「怪文書」だと表現した。信じるに足る文書ではないと公式に表明したのだ。しかしその一方で、口外を禁じるオフレコ発言では、前川氏が文書をリークしたと名指しで語っていた。ダブルスタンダードである。しかも発言はさらにエスカレートした。