口調のいい短い表現の中で機智に富み含蓄のある内容を盛り込んだ故事や諺は、昔から広く人々に生きる喜びの指針や世渡りのコッを教えて くれる。 それは、これらの故事や諺が成る程もっともだ、実にうまい事を言うものだ、という万人の 頷(うなづ)きの所産だからに違いない。 ところで、日本漢字能力検定協会は去年の漢字に何を血迷ったか「金(キン)」を選んだ。 即ち「金(キン)」が昨今の世相を最も良く反映したものだと言うのだ。 たしかに、ロンドン・オリンピックでの日本選手達の金メダル獲得や、山中京都大学教授のノーベル賞受賞等、まさしく「金」を「キン」 と読めば日本国民にとって喜ばしいニュースには違いない。 然し、今私か原稿を書いている2013年の正月、「金」をゴールドと読む人より、[カネ]と読む人の方が遥かに多いはずだ。 昨年末以降の若干の円安により企業間に景気好転の期待が出始めたとはいえ、ユーロ圏経済は相