前十字靭帯損傷がサッカー選手にとっての致命傷だったのは、数十年前の話。スポーツ医療が発達し、近年はその大怪我からの復活も珍しいことではない。 しかし、北海道コンサドーレ札幌に所属する31歳のMF駒井善成の復活劇は、実にレアなケースだ。さらに言えば、スポーツ界において決して小さくない意味を持つものだろう。 関節内に位置する前十字靭帯は血流に乏しいため、基本的には自然治癒が望めない――そんな常識に反して、50%を損傷しながら手術をしない保存療法によって完治させたのである。 「20~30%の部分断裂なら手術しないでもいけるんですけど、50%も断裂して保存療法で治ったのは、少なくともサッカー界では僕が初めてだと思います。春に公式戦に復帰してからシーズン終了までリバウンドもなかったし、痛みや違和感もなかった。トレーナーが画像を見ても『損傷したとは思えないほど完治している』と言ってもらえたので」 「走