数学好きなら一度はあこがれる「ガロア理論」。非常に難解な理論と思われがちだが、じつは一歩ずつ理解を積み上げれば、一般の数学ファンにも十分理解可能だという。 『今度こそわかるガロア理論』や『離散数学入門』『群論入門』などの入門書を数多く書かれている芳沢光雄先生に、ガロア理論へ至る道筋をまとめていただいた。 数式なしのガロア理論の啓蒙書では物足りないという方は、ぜひじっくりと読んでみていただきたい。 本稿では、離散数学とガロア理論の接点となるような話題を紹介しよう。 きちんとした証明は拙著を参照いただくとして、この記事では「読み物」風にガロア理論を理解するために必要なキーワードを紹介していく。 正五角形で「写像」と「群」を理解する まず、「正五角形をそれ自身に移す移動(合同変換)は全部で何個あるか」という問題を考えてみる。 動かさないものも1つの移動と考えると、下図のように全部で10個ある。