天下分け目の関ヶ原、島津豊久を主人公に据え「島津退き口」、捨てがまりから物語が始まる―― これだけでも掴みはもう十二分、クライマックス! という感じではありますが、そこから物語は大転換、舞台は異世界へ。あらゆる国・時代から集った偉人たちが「漂流者」と「廃棄物」に分かれた戦乱の最中に放り込まれる、という。 下手をすれば「ぼくのかんがえたすごいせんそう」になってしまいかねない設定、しかし、これを激しく「アリ」にしてしまう、ケレン味たっぷりの平野氏の筆。信長・那須与一らと協力しエルフを糾合して国盗りを開始する豊久。仲良くケンカするハンニバルとスキピオ(そしてここぞという場面でハンニバルに絶対の敬意を表するスキピオ!)乱戦の中、空を破って登場する菅野直の紫電改。 廃棄物の側には炎で全てを焼き尽くすジャンヌ・ダルク、全てを凍てつかせるアナスタシア、隊士の霊(?)を引き連れる土方歳三。そこに吹き荒れる