ブックマーク / kyokusouan.blog69.fc2.com (24)

  • 棘叢庵漫録 イラッとくる程おもしろい『カッコカワイイ宣言』1巻

    『女に惚れさす名言集』の地獄のミサワ氏、初のコミックス。 いやもう、知っている人には説明不要、知らない人にはまあ一回見てみれば分かる、という感じの地獄のミサワ氏。 その風貌含め、絶妙にイラッとくるキャラたちが次々と繰り出すうざいネタの数々。 「うぜぇ……でも笑っちゃう……!」 的なクセになる笑い。 誰にも真似できないこの芸風、は間違いなく一種の天才。 言葉で説明するのは無粋……というか私の力ではこの作品の独特の空気を文章化できないので、表紙のかおちゃんにイラっとした人は、とりあえずみんな読むと良いと思います。 そして地獄のミサワ氏のインタビューも相当スゴイので是非読むと良いと思います。

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/10/05
    地獄のミサワの初コミックス。"誰にも真似できないこの芸風、は間違いなく一種の天才。"
  • 棘叢庵漫録 声に出すことで引き出される物語の力。『花もて語れ』1巻

    『空色動画』でアニメーションづくりの楽しさ、感動、ワクワクを思いっきり描いた片山ユキヲ氏。 その片山氏の新作が題材に採るのは「朗読」。 朗読が漫画になるのか? そんな疑問は読み始めた途端にどこかに行ってしまいました。 主人公・佐倉ハナが出会った朗読の魅力。声が小さくて人前で話したりすることの苦手な彼女が、その「イメージ」の力・声の力で物語の魅力をぐいぐいと引っ張り出していくのです。 声を出してを読む。それだけのことがここまで烈しく、熱く、やさしく、人の心を揺さぶる物語として描いてしまうとは! 読み手のイメージ、そして声によって物語から引き出された「力」が聴く者を強く揺さぶる様子は圧倒的ですらあり、また同時にとても心地良いものでもあります。 この1巻で扱われる物語は、国語の教科書で強い印象を受けた人も多いであろう宮沢賢治の『やまなし』。「クラムボンはかぷかぷ笑ったよ」で有名なあれ。 この作

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/10/04
    "声を出して本を読む。それだけのことがここまで烈しく、熱く、やさしく、人の心を揺さぶる物語として描いてしまうとは!"
  • 棘叢庵漫録 花のお江戸のくとぅるぅ噺。『伴天連XX』1巻

    江戸×クトゥルーの有り得べからざる融合。 そんな無茶な! と思いつつも、コレが滅法面白いのだから大変なことであります。 佃島で起った河童騒動、その影にちらつく「深きものども」の影。無明獅子緒の異形の左腕に宿った「ないとごぉんと」が顕現する! 時代物の空気の中にするりと、さも当然のような顔をして差し挟まれるクトゥルー要素。 クトゥルーの知識を持った胡散臭い宣教師・ザビエル10世のユニークなキャラが、江戸とクトゥルーの異質な二つを繋ぎ、軟着陸させます。さらに高い画力がその迫力で有無を言わせないという。 クトゥルーをこんな形で江戸の和テイストに変換してしまうとは! と吃驚するやら面白いやら。 タイトルからするとザビエルが主役のような印象ですが、物語は獅子緒が背負った業を軸に、旧神と旧支配者の対立を織り交ぜて展開。これからどんな神々の狂宴に巻き込まれていくか、そういう面でも楽しみ。 しかし、トリッ

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/07/19
    "江戸×クトゥルーの有り得べからざる融合。そんな無茶な!と思いつつも、コレが滅法面白いのだから大変なことであります。"
  • 棘叢庵漫録 女子高生双子、虚実のあわいなる異界を探訪す。『さえもえな日常』

    紗英と萠は、巫女の属性を有する双子の姉妹。 彼女達が夢と現実のあわいで迷い込む不思議な世界で奇妙な事件が続発、それはもはや日常か!? 双子らが足を踏み入れる不思議な世界は、神社をベースに日的な異界の空気を持ちながらも、路面電車が爆走したり、巨大な招きが建っていたり、多脚戦車が登場したりと、幻想的でありながらもなかなかにカオス。 そこで起こる事件は、無くなった母やご先祖様との再会、ネコの文化とスパイをめぐるドタバタ、神様同士の縁に巻き込まれたり。 現実なのか夢なのか判然としない世界で、クラスメイトを巻き込みながら、エピソードは時にしっとりと、時にスラップスティックに展開。そして虚と実のあわいがまた微妙にあやふやなまま日常へと回帰していきます。 カオスななんでもあり感と、ファンタジーの心地よさが同居したなんとも不思議なこの空気。おもわずため息が出てしまうくらいに魅力的。女の子達も大変に可愛

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/07/14
    マンガ「さえもえな日常」。"カオスななんでもあり感と、ファンタジーの心地よさが同居したなんとも不思議なこの空気。おもわずため息が出てしまうくらいに魅力的。"
  • 棘叢庵漫録 私のドリフター 地獄へ堕ちてゆく 『ドリフターズ』1巻

    天下分け目の関ヶ原、島津豊久を主人公に据え「島津退き口」、捨てがまりから物語が始まる―― これだけでも掴みはもう十二分、クライマックス! という感じではありますが、そこから物語は大転換、舞台は異世界へ。あらゆる国・時代から集った偉人たちが「漂流者」と「廃棄物」に分かれた戦乱の最中に放り込まれる、という。 下手をすれば「ぼくのかんがえたすごいせんそう」になってしまいかねない設定、しかし、これを激しく「アリ」にしてしまう、ケレン味たっぷりの平野氏の筆。信長・那須与一らと協力しエルフを糾合して国盗りを開始する豊久。仲良くケンカするハンニバルとスキピオ(そしてここぞという場面でハンニバルに絶対の敬意を表するスキピオ!)乱戦の中、空を破って登場する菅野直の紫電改。 廃棄物の側には炎で全てを焼き尽くすジャンヌ・ダルク、全てを凍てつかせるアナスタシア、隊士の霊(?)を引き連れる土方歳三。そこに吹き荒れる

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/07/12
    "下手をすれば「ぼくのかんがえたすごいせんそう」になってしまいかねない設定、しかし、これを激しく「アリ」にしてしまう、ケレン味たっぷりの平野氏の筆。"
  • 棘叢庵漫録 エロかわいいアネキに翻弄されたい! 『鬼灯さん家のアネキ』1巻

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/07/02
    "しかしまあ、このアネキのエロかわいらしさは無類であることよ。"
  • 棘叢庵漫録 妄想少女がかわいらしくてたまらない! 『つるた部長はいつも寝不足』1巻

    美術部の部長を務めるつるたさんは、妄想が暴走しがちな女の子。 ふとしたきっかけで妄想スイッチがオンになると、周囲が見えなくなってちょっとHな妄想にぷくぷくと沈んでしまうのでありました。 そんなつるた部長の文化系の青春を描く妄想ラブコメ。 ちょっとしたきっかけで現実と妄想がするりと繋がってしまうつるた部長。ベタなんだけれども妙にエロティックな妄想世界を勝手に作り上げてしまって、赤面するやらろたえやら。 その姿がもうおかしくて、そして、かわいらしくてかわいらしくて……! つるた部長が赤面してわたわたしている姿だけで軽くご飯が3合はえます。 素朴で純情、垢抜けていないつるた部長が、内面にはエッチな妄想の種を山ほどため込んでいる、それがもうたまりません。 妄想トリガーがベタなのも、妄想のシチュエーションもベタベタなのも、逆につるた部長の純情っぷりを裏打ちしているのです。 恋愛とかHなことに興味は

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/06/24
    「つるた部長はいつも寝不足」。"ああ、もう読んでいると絶対ににやけます。つるた部長は今年登場したヒロインの中で一番かわいらしいかもしれない。"
  • 棘叢庵漫録 恋愛バトルであり、もう一つの恋愛の可能性でもあり。『ウワガキ』1巻

    彼氏ありの女子高生・千秋にフラれたアジオ。化学教師・山田は千秋を二人に分裂させ、実験としてコピーの千秋とアジオが付き合うことを提案。オリジナルとコピー、それぞれの彼氏に対する恋愛感情が大きかった方に「好き」の気持ちが「上書き」されるというが――。 オリジナルとコピー、「今の彼との記憶」の有無だけが違う同じ人格の女の子二人。それぞれが別の男と同時に恋愛を進行。それは二人の女の子の恋の競争物語であり、また同時に一人の女の子の二つの恋愛の可能性を見せる物語でもあるという。 少しずつ地道に距離を縮める初心いカップルとして描かれるアジオと小秋(コピー千秋)。不安を抱えながらも恋愛進行中の千秋と今カレ。 「育ちつつある恋愛」と「維持する恋愛」、二つの恋愛の競争劇であるわけですが、ヒロイン側が同一人物――というか同じ人格を持っていることがその競争劇に様々なドラマをもたらします。 なんだかんだありつつも地

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/06/14
    「ウワガキ」。"複数の物語の軸を交差させ、様々な仕掛けが絡みあい、恋愛にドラマを生み出しながら、ギャグを交えつつポップに物語は展開。"
  • 棘叢庵漫録 アイドル&お笑い、二人一役のラジオ番組はどうなる!?  『O/A』1巻

    売り出し中の人気アイドル・堀内ゆたか。パーソナリティを勤めるラジオの生放送中に起った彼女の窮地を救ったのは、ゆたかと同じ声を持つ芸人の卵・田中はるみだった! 性格も生き方も全く異なるアイドルと芸人、二人一役で挑むことになったラジオ番組はどうなる!? というわけで「ヤングエース」連載中、『鴨川ホルモー』のコミカライズを担当していた渡会けいじ氏の初オリジナル商業誌作品。 腹を下して生放送の途中でトイレに行かざるを得ない状況になったゆたか。その代わりに喋ることになったはるみ。 アイドルが主役のお話でいきなりトイレとは……と思う間もなく、はるみのトークで「トイレで大に」とか言ってしまうぶっちゃけぶり。 アイドルらしからぬ妙なノリと、下方向(notエロ)にぶっちゃけたトークが大いに受けたものの、ゆたか的には納得がいかないわけで――。 アイドルを演じるゆたかと、天然系のはるみ。全く異なる二人が声だけで

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/06/03
    渡会けいじ「O/A」。"いい話の中に笑い。笑いの中にいい話。この緩急の付け方もまた巧い。ストレートにお奨めしたい一作。"
  • 棘叢庵漫録 最強の料理漫画、ここに竣工! 『ドカコック ドカうまっ!! 満腹編』

    全国の現場を渡り歩き、そこで働く男達に、作ったメシで力と希望を取り戻させる伝説の流れドカがいるという。その男は京橋建策、またの名をドカコック! ジャンル分けをするなら料理漫画という事になるのでしょうが、とにかくその力強さとバカバカしさは無類。 ドカコックの料理がうちひしがれている男達に夢や希望、力を取り戻す、という非常に料理漫画的な筋ではあるのですが――。 まず土方のコック、という設定からしておかしい。 料理の工程を工事のそれに模し、料理の完成を「竣工!」と言い放つユニークすぎる着想。 「ドカドリーム」「ドカモーション」「ドカプロミス」など、バカバカしくも有無を言わせぬ説得力に満ちた言語センス。そして力強く優しい、まさに「侠」なドカコックの生き方。 あまりにも雄々しいドカコックの料理作法と、それに引き込まれる観衆のノリの良さ――というかグルーヴ感。 全編ツッコミどころ満載の、あまりにも強引

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/05/25
    「ドカコック ドカうまっ!! 満腹編」。"溢れるB級臭さと、それを自覚してノリノリでやっている感覚が面白くて仕方ない。ものすごい脂の乗った作品。"
  • 棘叢庵漫録 少女マタギが撃つものは何か。『椿鬼』1巻

    山に生きるマタギの少女・椿鬼。 山の色を見、山の声を聞く彼女がその背に担いだシロビレ(村田銃)で撃つものは――。 押切蓮介氏が描く新作は、山を舞台にしたアクションホラー。 山を切り開いて行かざるを得ない人々と、その人々を抱いてそこに在る山。そのあわいでバランスを崩して狂ってしまい「魔」と呼ぶしかない存在となってしまったモノを撃ち抜く椿鬼。 神を騙り快楽のために人を殺しう人間。人間を犯し獣を孕ませ、人々を虐殺する山。大変にグロテスクでエグい表現が満載。もうぐちゃぐちゃの真っ黒。 しかし、それらの中にあって椿鬼の姿は凛として美しく、そして哀しみを帯びて起立しています。 生き延びるために山を克せんとして戦う人々と、それに抵抗する山。命のギリギリのところを賭けた、どうしようもない部分で起るグロテスクな出来事――その場所に生きる者達の哀しみを引き受け、力で止める役割を引き受けるが故に、椿鬼は強く美

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/05/18
    「椿鬼」。"エグさで言えば『ミスミソウ』以上の部分がありますが、それだけで終わらせない物語の余韻。泥濘から咲く一輪の蓮、のような涼やかな感じ"
  • 棘叢庵漫録 両手に花、しかしそこには大変な棘と毒が! 『ハルとナツ』2巻

    憧れの女の子に告白したものの手酷く振られた主人公。しかし、憧れの女の子は双子で、彼を振ったのは姉の方だったのだ! 主人公にぞっこんなのだけれども、独占欲が強い妹と、妹の「大切なもの」として主人公を奪うために積極的すぎるアタックをかける姉。二人に挟まれて嬉しくも、厳しい状況に追い込まれる主人公の役得と受難の日々を描くラブコメ。「ヤングアニマルあいらんど」連載。 美人双子を両手に花、過激な姉のアタックに対抗するため、大人しいはずの妹も――とうれしはずかしな状況なのですが、妹の独占欲が強すぎてヤンデレ化してしまっていることで、そのシチュエーションに緊張感が走りまくり。お色気展開でありつつも、一瞬でサスペンスモードになってしまうという油断のならなさ。 双子ゆえの、姉なの? 妹なの? というお約束の取り違え展開、抜群にかわいい女の子が惜しげもなくサービスシーンを繰り出しながらも、今風の「ヤンデレ」属

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/04/20
    「ハルとナツ」。双子ものラブコメ。"お色気展開でありつつも、一瞬でサスペンスモードになってしまうという油断のならなさ。"
  • 棘叢庵漫録 すこしふしぎでとってもユニーク。『第七女子会彷徨』2巻

    相変わらず「すこし・ふしぎ」の遺伝子をたっぷり受け継いだユニークな世界が素晴らしい。その世界での変な道具や出来事に対する金やんと高木さんたちの反応が愉快でこれまた素敵。 死後、データ化された天国に行った友達と学校で普通に交流できるちょっと未来のちょっと奇妙な世界。 そんな、パラダイムシフトが起きていそうな技術や道具がぽこぽこと存在している世界で、でも高木さんと金やんは、それによって起る奇妙奇天烈な出来事を時に楽しみ、時に吃驚しながらも、「日常」としてのほほんと過ごしていく。このさじ加減の絶妙なセンスに痺れます。 二人で出かけるだけの「ぷらぷら」みたいな軽い話(頭からジュースが出るおじさん姿の自販機「お父さん自販機」がバカバカしくてステキ)や、ウサギ人間たちに頭の中身を覗かれる軽くホラーっぽい「高木さん劇場」、コールドスリープから目覚めた同級生とのちょっと切ない再会「初恋解凍」などなど、語り

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/04/16
    「第七女子会彷徨」。"相変わらず「すこし・ふしぎ」の遺伝子をたっぷり受け継いだユニークな世界が素晴らしい。"
  • 棘叢庵漫録 点子、頭を良くしてあげよう――『薔薇だって書けるよ』

    白泉社「楽園」(web増刊含む)掲載作品を中心に同人誌発表作品「晴田の犯行」、書下ろし作品1編を加えた著者初単行。 これがデビュー単行か! と唸ってしまうほどに巧い。収録された短編はどれも素敵なのですが、表題作が抜群に素晴らしい。 天真爛漫、奔放不羈の魂を持つ少女・点子と結婚した男。幸せで甘い新婚の日々、しかしあまりに浮世離れした点子に男は次第に引け目を感じるようになり、やがて彼女は悪気のないまま、とある間違いを犯し―― 点子のその笑顔は俗世と切り離された天界の住人のそれであり、彼女が求める「幸せ」は現実の細々としたルールにはとらわれない。 例えば、『智恵子抄』。例えば、安吾の『白痴』。――点子の美しさは、そんな白痴美とも言うべき現実に毒されることのない真っ白な美しさ。二人きりの世界でそれは無上の美ではあっても、ひとたびそれが現実と接点を持てばたちまち地に落ちて泥に塗れる危ういものでも

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/04/11
    売野機子「薔薇だって書けるよ」。"これがデビュー単行本か!と唸ってしまうほどに巧い。収録された短編はどれも素敵なのですが、表題作が抜群"
  • 棘叢庵漫録 明るく素敵に狂ったラブラブ――『れすきゅーME!』1巻

    「チャンピオンREDいちご」連載、巻田佳春氏の初一般単行。 自宅に家政婦としてやってきた同級生の美少女が主人公に猛烈アタックをしかけまくり。そこに年下の叔母(貧乳)まで加わって主人公誘惑合戦が開始。主人公はヒく。 そんなうれしはずかしラブコメ、或いはエロコメ――と言ってしまうには何か違う、巻田氏独特のかわいい、でもブッ飛んだ妙なノリが全編くまなく充満。「巻田音」もきゅんきゅんと鳴りまくっております。 何の葛藤も無しに同級生の家政婦をやることになるヒロイン、この時点でだいぶ変なわけですが、それも含めて全体的にヒロインの思考がおかしい。明るく狂っております。でもかわいい。とてもかわいい。 とにかく罪悪感とか羞恥とかそういうものは一切無しに積極的にHな方向性に突っ走っていくヒロイン達。 でもラブラブというのとはちょっと違う、かといって淫乱とも違う、配線を一間違えた甘ラブ、とでも言いましょうか

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/03/20
    巻田佳春「れすきゅーME!」。"何の葛藤も無しに同級生の家政婦をやることになるヒロイン、この時点でだいぶ変なわけですが"
  • 棘叢庵漫録 漫画家煮え煮えファイト! 『西原理恵子の人生画力対決』1巻

    西原センセが他の漫画家と画力を競い合うという、もうそんなの面白いに決まってるじゃあないか! という企画。 しりあがり寿やみうらじゅんといったサブカル枠から、藤子不二雄A、ちばてつや、やなせたかしといった漫画界の元勲、「あの人は今」枠としての江口寿史、そして福伸行。 などなど、錚々たる面子による漫画家としての拠って立つところのものを賭けた真剣勝負。のはずなのに、西原先生の人いじりの巧さもあって、煮え煮え具合が素晴らしい。 作品が映画化したり、コメンテーターとしてNHKに出たり、いまやもう「文化人」枠としても名声を獲得している西原先生。そういう西原先生だからこそ実現できた企画であり、暴言もケンカの売り買いもプロレス的なものではありましょうが、いやあ、それでもやっぱり偉大な漫画家達のトホホなイラスト勝負・西原先生のつっこみの激しさには思い切り笑わせられてしまう凄みがあります。

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/03/19
    「西原理恵子の人生画力対決」。"偉大な漫画家達のトホホなイラスト勝負・西原先生のつっこみの激しさには思い切り笑わせられてしまう"
  • 棘叢庵漫録 日常の小さな積み重ねのしあわせ――『日々是…』

    同棲を始めたカップルのラブラブな日常を描いた作品。 いやもう、読んでてこれほど顔がニヤけてしまう漫画というのもなかなかありますまい。 描かれるのは何でもない日常の一幕。しかし、幸せと愛情で充ち満ちた二人のラブラブっぷりといちゃいちゃっぷりたるや! 慣れない同棲生活の中、段々と二人の空間を作って行く行為。 感動屋のたまきさんと、ちょいと気弱な感もあるコーゾーくん。些細な、しかし大切な思い出を積み重ねていく様が実に実に丁寧に描かれております。二人一緒に一緒に生活している、ということを確認していく行為が実にくすぐったくて、あったかい。 そして、日常のふとした瞬間にエロスイッチが入って行為に及ぶ二人、その気持ちの流れの自然さが何だかがもう大変にエロちっくです。 ハードな描写ではなくても、何と申しましょう、こう、ハートで感じるエロさがあります。 いやもうごちそうさま。お幸せにね! ってヤツですよ。

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/03/11
    「日々是…」。"いやもう、読んでてこれほど顔がニヤけてしまう漫画というのもなかなかありますまい。"
  • 棘叢庵漫録 希望を摘み取れ――『狼の口 ヴォルフスムント』1巻

    14世紀初頭アルプス地方。オーストリアのハプスブルグ家に対し、現在のスイスの前身に当たる自治邦が抵抗を続けていた時代。 伊独を結ぶ交通の要衝であるザンクト・ゴットハルト峠に築かれ、何者も通さぬ砦、通称「狼の口(ヴォルフスムント)」。何とかしてそこを通ろうとする者達と、その望みを打ち砕く砦の番人・ヴォルフラムの攻防の物語。 逃避行の中、危地に挑む男女。それを阻もうとする狡猾な役人。ああ、勧進帳の欧州バージョンなのか……と思っていた自分の読みのぬるさを思い知らされた第1話の衝撃たるや。 故郷のため、主のため、命をかけて何とか「狼の口」を抜けようとする者達。工夫を凝らし、持てる力の全てを以て挑んでいるのに対し、それを嘲笑うかのようにいたぶり、かみ砕く「狼の口」。優男の面に薄い笑みを浮かべながら女子供関係なく処刑していくヴォルフラム。 次々に希望が潰え、死体が積み重なっていく様は無惨極まりないので

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/02/15
    「狼の口」。"次々に希望が潰え、死体が積み重なっていく様は無惨極まりないのですが、しかしそれを前にしたヴォルフラムの薄い笑みに、暗くサディスティックな共感を覚える"
  • 棘叢庵漫録 戦争に子宮を供する女達――『WOMBS』1巻

    転送能力駆使する特殊部隊。 それは妊娠期間中の雌だけが転送能力を持つという生物・ニーバスの体組織を胎内に宿された女だけの部隊。 地球から遠く離れた移民星で続く第一次移民と第二次移民の戦争の中、その「子宮部隊(ウームズ)」に配属されることになった一人の女性兵士を描く。 自分の子宮に、正体不明の生物のパーツを宿されて、その力を軍事利用される女性たち、というショッキングな設定。妊婦と戦場、縁遠い要素を密接にくっつけて、しかも説得力があるという。 兵士として戦うことと自分の子宮に得体の知れないモノを宿すという女性としての葛藤、得体の知れない「ニーバス」の謎と、それを軍事転用する軍隊の秘密、主人公の適正の謎――などなど、ぐいぐいと先に引っ張っていく展開と設定の面白さがあります。 一兵士として詳細は知らされないまま訓練を重ね、戦争に参加する主人公。その主人公と同等の情報量で物語を辿る読者としてはは、時

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/02/08
    白井弓子「Wombs」。戦場SFもの。"妊婦と戦場、縁遠い要素を密接にくっつけて、しかも説得力がある"
  • 棘叢庵漫録 この悶々がたまらない――『加納家の事情』(上)(下)

    父親の再婚によって、浪人生の主人公に突然出来た3人の妹。その長女は電車の中で見かける気になるあのコだったのでありました――。 長女は眼鏡の似合うクールでスマートな女の子。次女は巨乳で快活な子。三女は人見知り、でも慣れたら甘えん坊なロリっ子。 それぞれタイプが異なる血の繋がらない妹達との同居、というベタな設定でありながら、えらくハートが揺さぶられてしまう作品なのですよこれは。 互いに気になる存在だけど、兄妹だし……というお約束の葛藤がありつつ、好意の音がときどきポロリとこぼれてしまって、舞い上がって、でもやっぱり兄妹だし……というこの悶々。 そして、兄妹だから家の中で微妙にさらけ出されている無防備な姿がまたたまらなくて。しかし兄妹であるということがブレーキをかけて。 歯磨きの音だけで興奮としてしまうとか、何だかすごく分かるなあ。 直接的なエロス描写は全くないのに、このひたすら続く悶々とした

    mokkei1978
    mokkei1978 2010/01/22
    小石川ふに『加納家の事情』。"タイプが異なる血の繋がらない妹達との同居、というベタな設定でありながら、えらくハートが揺さぶられてしまう"