◆『 ぼくと透明なネコ』5 「こんなに、うれしいことはない・・・」(by アムロ・レイ) 猫を飼えない男の猫語り 短編『猫屋敷の夜』 漫画の週刊連載をしていたころ、仕事場のすぐ近くに、いわゆる「猫屋敷」があった。 立派とはいえない小さな造りの家に、たくさんの猫が出入りしていた。 総勢20匹くらいだろうか、大人もいれば、子猫もいる。大半が白を基調とした色で、太っているのは一匹だけ。やつがおそらく、ボスだ。 その家は、管理が行き届いていないのか、ちょっとした異臭も放っていた。周囲には近所迷惑扱いをされていたが、私は内心、うらやましさを感じていた。 パラダイスやんけ・・・・・・。 当時の私は、精神的にかなり追いつめられていた。 遅筆であるため、スケジュールに隙はない。 その週の原稿が終われば即、翌週の原稿をスタートさせることが必須だった。睡眠時間をどれだけ削ることができるかという、チキンレースで