アメリカの小中学生で学ぶ数学は日本よりはるかに簡単と聞きますが、それでも世界の研究やテクノロジーをリードできているのはなぜでしょうか? 小田部正明 (Masaaki Kotabe):色々な答えはあるのでしょうが、3つに絞って答えてみます。 第1に、人生の半分以上をアメリカで生活し、子供をアメリカの小中高、そして大学、大学院まで送った親としての経験と、アメリカの大学の研究者としての二つの観点から答えてみます。日本で大学への受験勉強を経験した私と比べで、確かにアメリカの小中高の教育を見ていると、歯がゆいほど程度が低いと感じたことがあります。私の子供の教育を見ていて、アメリカの公立高校生は日本の中学校のレベルの教育を受けているように思えました。次に大学の教授の観点から見ると、最初の大学1-2年は特に数学系(微積分や行列代数)の授業に関して補習教育をしないと、本当の大学レベルの授業ができないのが現