大学生であれば、生協の組合証を提示すれば、一割引程で教科書を買うことができるというのはもちろんご存知の通りだろう (大学によって、割引の有無、高低はあるかもしれないが) 。だがちょっと待って欲しい。「本来、本は定価で販売されているのに、なぜ割引されているの?」という疑問を抱いたことがある人もいるのではないだろうか。今回のコラムでは、この疑問を端緒として、我が国の本の販売システムと向き合っていこう。 なぜ本は定価で販売されているのか? あなたが普段購入する本、その値段はどこの書店で買っても同じである。これには著作物の「再販売価格維持制度 (以下、再販制度)」がはたらいているからだ。著作物の「再販制度」とは、出版社が書籍・雑誌の定価を決定し、小売書店等で定価販売ができる制度のことだ。例えば、出版社がある本を1000円で売ると決定したら、書店はその本を必ず1000円で売らなければならない。本来、