「いらっしゃいませ」。引き戸を開けると、メードが迎えてくれた。秋田県羽後町の「オウザン村カフェ」。黒いワンピースに白いエプロンだが、秋葉原のメード喫茶とはずいぶん違う「正統派」だ。 「これからの季節は、緑が萌える様子が美しいんです」と総支配人でシェフも兼ねる武富雅一さん(46)。築120年の古民家を利用して2007年に開店した。店名は義父らが経営する料理旅館「櫻山」にちなんだ。大窓から、桜や古い大樹が立ち並ぶ1千坪の庭園を一望できる。 町の名家が迎賓館としても使い、河東碧梧桐ら文人も逗留したという。往時の雰囲気を損なわぬよう、店内はアンティークのシャンデリアなどで装った。メード服も、パリで100年前の実物を見学したデザイナーへの特注品だ。 メニューも本格的だ。専ら地場食材にこだわった創作イタリアンが自慢。自家製クロワッサンを二度焼きしたラスクはサクサクした食感と濃厚なバターの風味が持