なぜ「SOS」は受け止められなかったのか 「お父さんに暴力を受けています。夜中に起こされたり、起きているときに蹴られたり、たたかれたりされています。先生、どうにかできませんか」 千葉県野田市の10歳になる小学4年の栗原心愛(みあ)ちゃんは、いじめを調査する学校のアンケートにこう書いていた。この文面が報じられる度に、事件の悲惨さが心に重くのしかかる。「チャンスは何度もあったはずなのに、なぜ学校や児童相談所は救えなかったのか」と悔やまれるばかりである。 アンケートのSOSから一時保護するまではよかった 事件の経緯を少し振り返ってみよう。 千葉県野田市に移り住む前、心愛ちゃん一家は沖縄県糸満市で暮らしていた。2017年7月、母方の親族から糸満市に「父親から恫喝を受けている」と相談があった。しかし翌月の8月には一家は野田市に引っ越した。このため糸満市は恫喝の事実関係を確認することはできず、心愛ちゃ
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