#2 #3 薄れた人口危機意識 世界は多重危機の時代に入った。コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、資源エネルギーの高騰と世界的なインフレ、そして従来からある気候変動も危機感が高まっている。 日本もそうした重層化する危機に翻弄される中で、本来、日本の未来に最も大きな影響を与える課題に対しては逆に危機感が薄まっている。その危機とは「人口問題」に他ならない。 2017年に刊行した拙著『限界国家―人口減少で日本が迫られる最終選択』(朝日新書)では巻頭推薦文を故堺屋太一氏に執筆していただいた。同氏はその中でこのように記している。 「実際、人口減少こそは、2020年代の日本が直面する最大にして喫緊の重要問題である。このことは、全国の人口減少の進んでいる地域、いわゆる『限界都市(地域)』に一カ月も住み、現地の産業や文化、生活に携わってみれば、誰もが痛感するはずだ」 人口減少は何をもたらすのか?同氏はこ