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2007年2月22日のブックマーク (4件)

  • コレクター考(2)コレクションは病気である(二): たけくまメモ

    「何が危ないのですか?」と俺が問うと、シャイニング氏はニタリと笑って引き戸を開け、部屋の隅を指さして、「不審者が部屋に侵入した瞬間、赤外線センサーが感知して、あそこからタタミ針が発射される仕掛けになっているんです。死にはしないですが、針先には煮詰めたニコチンが塗ってあるので、とても痛いうえ、傷口がなかなか治らないようにしてあります」 「ものものしいですねえ。なぜこのような仕掛けを?」」 「もちろんコレクションを守るためですよ!」 と彼が示した部屋の内部を見て俺は息を呑んだ。部屋は六畳間くらいだろうか、そんなに広くはなかったのだが、中央に万年床が敷いてあり、布団の四隅に沿ってビッシリと天井までマンガが平積みされているのだ。冬の豪雪地帯で、道路だけ除雪されて道の両側が高さ数メートルの「雪の壁」になっている風景があるが、あのような感じで、まさに「マンガの壁」である。よくも床が抜けないものだと思っ

  • コレクター考(1)コレクションは病気である(一): たけくまメモ

    よく誤解されるのだが、俺はコレクターではない。吉祥寺にいた頃、蔵書が段ボールで250箱あったと以前書いたが、それはたんに「が多い状態」なだけであって、断じてコレクションなどではなかった。その後、200箱近く古屋に売り払ったが、そのときも「惜しい」とはあまり思わなかった。むしろ積年のアカがとれたようでせいせいしたくらいだ。もし俺が真性コレクターだとしたら、決してありえないことである。 真性コレクターにとって、コレクションはアイデンティティそのものであり、自分の生命である。手放すなんてとんでもない。非コレクターには決して理解できぬ絶対の価値意識が、そこにはあるのだ。 20代から30代にかけての俺は、たしかに無闇やたらとを買い、映像ソフトを購入していた。たぶん新築の一戸建てが1軒買えるくらいのお金は使ったと思う。その中には60年代から70年代初頭の「少年マガジン」のように、東京中の古書店を

  • YouTube - shashin de hitokoto

    Hitoshi Matsumoto watches a photograph and says a unique word.

  • 2007年のアートシーン|音楽/吉田寛

    2007年の音楽シーンを予見するといっても、すべてのジャンルを俯瞰することはあらゆる面で不可能なうえに、かつての現代音楽のような明確な参照点はもはや存在しないので、ここでは、今年音楽をめぐって問題になりそうな事柄を、特定のジャンルを前提にせず、かつあえて極々個人的な興味や知識に基づいて書かせて頂きたい。 今年はMP3プレーヤーが初めて発売されて10周年にあたるが、当初は「より便利で軽快なウォークマン」として登場したデジタルオーディオプレーヤーは、今やコンサートやラジオはもちろん、各種録音メディアをも凌ぐ、われわれの音楽体験の主要な場となっており、またマーケティング的には、デジタルコンテンツ産業と一体化し、音楽という財のカタログ化と所有、支配と管理をめぐる主戦場となっている。かつてアドルノがレコードを対象に考察を行なったように、われわれはMP3(他のフォーマットでもよいが)という形式の技術