きのう研究室に若手の人類学者のTさんが訪ねてきて、「人類学の失われた10年」についての話を聞きたいという。でも、話は、最近の若い研究者は、自分が評価されるときや人を評価するときの基準というか軸として、「もてる/もてない」という基準=軸しか考えていないのではないかという話になった。「もてる/もてない」という基準は、「売れる/売れない」ということでもあり、市場原理の基準である。そのような基準一色になっているのは、何も若い研究者だけではないかもしれないが、市場原理主義の蔓延という時代的な要因と、若い頃のほうが「もてたい」「売れたい」という欲望が強いという世代という要因とで、若い研究者のほうが「もてる/もてない」という基準に染まりやすいということはあるかもしれない。 私も若いころには「もてたい」「売れたい」という欲望が人並み以上にあったと思う。しかし、それ以上に気にしていた評価の基準があった。それ