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ブックマーク / kimikoishi.hatenadiary.org (9)

  • コロの思ひ出 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    わたしとコロが出会つたのは、1980年のよく晴れた日の午後でした。 わたしはその日、釣り堀に連れていつてもらつたのです。コロとはそこで偶然出会ひました。 釣り堀といつても、そこはトタン屋根のプレハブ小屋の屋内型の小さな釣り堀で、小屋の中に大きな「いけす」があり、そこに一尺ばかりの真鯉(真鯉とは真つ黒の鯉のことで、色のついた鮮やかな鯉は錦鯉と云ひます)がたくさん放たれてゐました。 普通は釣り堀といふものは、屋外にあるもので、室内の釣り堀は当今はそれほどたくさんはないと思ひます。釣りは野外でのんびり糸をたれて、のどかな時間を楽しむのが醍醐味ですから、屋内では少々感興がそがれるものです。 さて、わたしのいつた釣り堀ですが、釣り人はいくらかのお金を払ひまして(三十分五百円位だつたでせうか)、釣り糸と針のついた二尺ばかりの短い釣竿と、団子状のえさを貰ひ、いけすに糸をたれるのです。 鯉はうようよしてゐ

  • ぽんぽこ - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    むかし、ぽんぽこといふお菓子がありました。 ロバ製菓のお菓子です。ロバ製菓は「ひよこ」といふお菓子も売つてゐました。「ひよこ」はつい最近まで売つてゐましたし、テレビで宣伝もしてゐたのですが、ロバ製菓さんは土地投機に失敗して倒産してしまつたやうです。とても残念・・・ もつとも、ロバ製菓の工場を買ひ取つた会社があるやうで、「ぽんぽこおやじ」といふ名前で、少々似た感じのお菓子を今でも売つてゐるさうです。 子供の時、ぽんぽこは憧れのお菓子でした。 ぽんぽこは記憶では、三個入り、六個入り、十二個入りの箱があつたやうに思ひます。ぽんぽこは一つ売りはしません。百貨店などで売つてゐる箱に入つた贈答用の高級菓子でした。 わたしがなによりぽんぽこを愛したのは、ぽんぽこの箱に小さな冊子がはひつてゐたからでした。 その小さな小冊子は「ぽんぽこものがたり」といふ題で、ぽんぽこが登場する絵になつてゐました。 すごい

    ぽんぽこ - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
    motimoti3
    motimoti3 2007/05/10
    ぽんぽこものがたり
  • 龍膽寺雄 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    龍胆寺雄は明治34年に茨城県の下に生まれて、主に昭和初期に活躍し、平成4年に亡くなつた小説家です。*1 わたしは高校生の時に、龍胆寺の作品を愛読してをりました。龍胆寺については、以前にも少し書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/kimikoishi/20060331)、昭和モダニズムを象徴する人と言へば、まさにこの人を措いて他にないのではないかと思ひます。 龍胆寺は医学部を中退して作家になつたといふ異色の経歴を持つてをり、昭和3年に「放浪時代」によって、改造社(今はありませんが、戦前の大出版社です)の新人文学賞の懸賞で一位になり、文壇に華々しく登場しました。 しかし龍胆寺は、ねつとりした村社会的な文壇政治には、とりわけ合はない天衣無縫な人であつたために、文壇を追放されてしまひます。昭和9年のことでした。昭和10年代には、高円寺から大和市の中央林間に移り住んで、シャボテ

    龍膽寺雄 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
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    motimoti3 2007/02/19
    『自分にとつてなにより大切なのは愛読者であり、それは精神的血族なのだ』
  • C・H・シュトラッツ - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    「白色人種は、最高の人種としてやはりいちばん完全な美をもっており、他の人種は、その発達の段階が高くなり、その美点が増すにしたがって、 白色人種に近づく」(C.H. Stratz, Die Rassenschonheit des Weibes, F. Enke, 1902)(『女性の人種美』) これはカール・ハインリッヒ・シュトラッツ(C.H. Stratz,1858-1924)といふドイツ人らしい名の人類学者の言葉です。シュトラッツは女性の体の美の研究に一生を投じた人で、日を訪れたこともあります。 この言葉を耳にして、ふむふむ、そのとおりだ、と素直にうなずく日人は、あまりいないでしょう。むしろ、馬鹿ではあるまいか、と笑い飛ばす人が多いのではないでしょうか。とくに、そういった反応は若い優秀な学生に多いかもしれません。 今の学問の規準は、もちろん、こうした西洋万歳主義を思わせるものは排除す

    C・H・シュトラッツ - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
  • ダンディズム - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    わたしは中学校、高等学校と詰襟服で過ごしました。 当時のわたしの姿は、いつも詰襟服に黒い短に黒いかばんです。黒づくめの姿はまるでからすのようでした。 真つ黒けの詰襟服は、戦前の巡査(冬服)や、映画「二百三高地」でおなじみの明治時代の陸軍の軍服のようで、とても気に入っておりました。 しかし、学友はこの服が気に入らないようで、裏地に赤い布を張つたり、燕尾服のやうに必要以上に長い詰襟服をこしらへたり、襟のカラーを異様に高くしたりして、さまざまな改造を試みていました。 襟のカラーをあまりに高くしたせいか、襟のホックが留まらず、いつも開けっ放しの変人もいました。カラーの高さを変えていない学友も、風の通りをよくするためか、いつも開けっ放しでした。 しかし、襟のホックをだらしなく開けっ放しでいるのは、わたしにはどうもかっこよくは見えないのでした。まるで、それは「社会の窓」を開放している姿に似て、わたし

    ダンディズム - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
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    motimoti3 2006/10/13
    アリクイさんの学生時代 
  • 雅号 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    昔の文人は名ではなく雅号を使ひます。大正時代まではその伝統は強く残つたやうです。雅号とは、たとへば森鴎外の「鴎外」がさうです。森鴎外の名は森林太郎です。大石内蔵之助良雄ではありませんが、雅号がつくといかめしい感じがします。 明治末から徐々にこの伝統を破る傾向が現れたやうです。白樺派の作家などが典型でせう。志賀直哉とか有島武郎とか武者小路実篤とか、みな名を使つてゐます。それ以外にも、菊池寛や芥川龍之介や久米正雄なんかも名です。大正期、昭和期の新しい作家はほとんどが名です。 名を使ふ人が増えるのと平行して、姓まで変へてしまふ筆名の人が増えました。とりわけ、探偵小説は筆名を用ゐる作家が多いやうです。江戸川乱歩とか、夢野久作とか、海野十三とか、久生十蘭とかです。さういへば、キチガヒ男こと、橘外男といふ作家もゐますが、これは名です。なんとも気の毒な名前です。 しかし、雅号といふのは変な

    雅号 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
  • 変態がな - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    さて、右の文字はなんと読むのでせう? 曲線がうまく出ないので若干変ですが・・・ わたしはひねくれものなので、正解が一つしかないテストやクイズは大嫌ひなのですが*1、たまにはよいでせう。 わたしは子供の頃に、ふと思ひたつて旧字・旧仮名遣ひ(正字・歴史的仮名遣ひとも言ふ)を使ふやうになりました。 理由は何のことはない。老人みたいでかつこいいと思つたからです。學とか盡とか圖とか圓とか、実にごちやごちやして、メカニックで素敵だと思つたものでした。 それでは、わたしはどうやつて旧字・旧仮名遣ひを覚えたのか? それは、岩波文庫ででした。 当時の岩波文庫は、今のやうな紙カバーがなく、ひらひらの細い紙の帯(薄青色、薄緑色、薄赤色、薄黄色、白色がありました)がついてゐて、その上にハトロン紙といふのでしたか、油紙がついてゐました。←後日追記、ハトロン紙は縫製の型紙などに使はれる茶色い丈夫な紙のことで、にかか

    変態がな - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
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    motimoti3 2006/07/17
    変態かなづかひ 
  • 新興芸術派 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    けふは大正浪漫の原点にかへつて、昭和初期についてのお話にします。いろいろありますが、とりあへずは当時の文学とモダンガールのお話です。 昭和5年ごろ、<新興芸術派>を名乗る一派があらはれます。龍胆寺雄、久野豊彦、浅原六朗、中村正常(中村メイコの父)、吉行エイスケ(吉行淳之介、女優の吉行和子、詩人の吉行理恵の父、吉行あぐりの夫)といつた人たちです。 この一派は、マルクス主義文学に対抗するために集まった人たちです。なんと言つても、昭和のはじめはマルクス主義が大はやりで(大正10年〜昭和4年ごろまで*1)、文学でもその影響は著しいものでした。葉山嘉樹、小林多喜二、徳永直といつた作家が「プロレタリア文学」を標榜して、華々しく活躍しました。 彼等の信条は、社会改革に関はりのない文学は堕落したものであり、ブルジョワの滅ぶべき玩具に過ぎない。だからこそ、プロレタリア革命に裨益する文学を作らなくてはならない

    新興芸術派 - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
  • ダ・ヴィンチ・コード - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla

    ダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』を遅まきながら読みました。去年あたりから、読みたい読みたいとは思っていたのですが、なかなか機会がなく、読めませんでした。 また、なかなか読まなかったのは、聞くところによると、『ダ・ヴィンチ・コード』はキリスト教と隠された<女性性>の問題をテーマにしているとのことで、最近はあまりその系統の話題には興味がないので、読んでも面白くないかも知れないと思ったからなのです。 『ダ・ヴィンチ・コード』は、ここ2年ほどでしょうか、ずっと人気がありまして、テレビでも去年と今年の春に取り上げられました。それを見て、のテーマは大体知ったつもりでおりました。わたしはこのテレビ番組について以前書いたこともあります(と、偉そうですが、なんのことはない、このアリクイの日記にです)。 わたしが<女性性>に強い興味を持ったのは、およそ十年ほど前です。荒井献氏による『ナグ・ハマディ文

    ダ・ヴィンチ・コード - アリクイ 大正浪漫日游  Myrmecophaga tridactyla
    motimoti3
    motimoti3 2006/06/29
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