所要時間はともに12分前後だったが、“勝敗”は誰の目にも明白だった。安倍晋三元首相の国葬での現首相と前首相の弔辞の内容は天と地の差があった。「話し方の家庭教師」として政治家や企業のエグゼクティブ1000人以上の指導に当たってきた岡本純子さんが分析した――。 岸田首相は血が通わない新聞検索記事のような話に終始 賛否が渦巻いた安倍晋三元首相の国葬が滞りなく行われた。その中で、特に注目を集めたのが、友人代表としての菅義偉前総理の情感のこもった追悼の辞だった。岸田文雄総理のスピーチとは何が、どう違ったのか。徹底比較をしてみた。 追悼の辞を述べたのは全部で5人。トップバッターが岸田総理、そして、最後が菅前総理だった。岸田総理の追悼の辞は約12分半、2533文字を淡々と読み上げた。特に印象に残ったのは、どこか他人行儀な語り口だ。 「29年前、第40回衆院選にあなたと私は初めて当選し、ともに政治の世界へ