本書『こうして、世界は終わる』はどんなジャンルの本なのか、ひとことで説明するのは難しい。 時代設定は西暦2393年。温暖化による海面上昇で西洋文明が崩壊してから、300年の時間がたっている。第2次中華人民共和国の歴史研究者が、20世紀から21世紀(つまり私たちが生きている今現在)を振り返って、未曽有の大災害をなぜ防げなかったのかを語るという内容だ。 それだけ聞くと近未来SF小説のように聞こえるが、災害のドラマチックな描写も、SFにはつきものの新しいテクノロジーもない(一つだけ、大気中の二酸化炭素量を減らすあるものを、日本人の女性科学者が開発したということになっているが)。 21世紀の今を生きている私たちの周囲で何が起こっているのか、その後、地球がどのような状態になったのかがとてもリアルに描かれ、ノンフィクションを読んでいるような印象だ。 社会的に大きな影響力を持つ現役の科学者が、このような