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ブックマーク / www.riken.jp (94)

  • 細胞をドーナツ型に変形させる力の源 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター形態形成シグナル研究チームの加藤輝客員研究員、董波(ボ・ドン)元研究員、林茂生チームリーダーらの研究チームは、ショウジョウバエ胚における気管形成過程をライブセルイメージング[1]で詳しく観察し、気管の枝(気管のもとになる上皮細胞[2]の管)が連結する際に起きる“球体からトーラス(ドーナツ)型へ”の細胞の形態変換に、細胞骨格に関わるアクトミオシン[3]と微小管[4]が担う役割を明らかにしました。 生物の体内では、血管、呼吸管など管状組織のネットワークが縦横に張り巡らされ、体の隅々まで血液や酸素を行き渡らせる物質循環が行われています。ショウジョウバエの胚発生では、各体節の気管原基(気管のもとになる組織)に由来する気管の枝が移動し、特定の位置で連結(融合)してネットワークを形成します。先端細胞(気管の枝の先端部に位置する細胞)は枝の移動を先

  • シナプスの微細構造まで鮮明に | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター感覚神経回路形成研究チームの今井猛チームリーダー、柯孟岑(カ・モウシン)国際特別研究員、金沢大学新学術創成研究機構の佐藤純教授らの共同研究グループ※は、生体組織深部の超解像イメージングを可能とする新しい組織透明化試薬「SeeDB2(シーディービーツー)」を開発しました。SeeDB2と超解像顕微鏡[1]を用いて、マウスやショウジョウバエの脳の蛍光イメージングを行い、シナプス[2]の微細な3次元構造を大規模に解析できることを示しました。 神経細胞はシナプスと呼ばれる構造で互いに連絡し合い、脳内に神経回路を構成しています。しかし、その構造は1マイクロメートル(μm、1μmは1,000分の1mm)以下と小さく、従来の光学顕微鏡でその詳細を観察することは困難でした。また、近年、光の回折限界[3]を超える分解能[4]を持つ超解像顕微鏡が開発されて

  • 脳の進化的起源を解明 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)倉谷形態進化研究室の倉谷滋主任研究員、兵庫医科大学教養部門生物学の菅原文昭講師(理研倉谷形態進化研究室客員研究員)らの共同研究グループ※は、顎(あご)を持たない脊椎動物「円口類」に属するヌタウナギ[1]とヤツメウナギ[2]の脳の発生過程を観察し、これらの動物では見つかっていなかった脳の中の2領域を新たに発見しました。これにより、段階的に進化してきたと考えられてきた脳の各領域のほとんどが、5億年以上前にすでに成立していたことを明らかにしました。 脳は細かく領域化された複雑な器官ですが、各領域が進化の過程でいつ獲得されたのかについては、未解明な点が多く残されています。現在、地球上に生息する脊椎動物の中で最初に分岐したのは、顎を持たない「円口類」と呼ばれる動物群です。円口類と、ヒトのように顎を持つ「顎口(がっこう)類」との比較により、脊椎動物の脳の初期進化を解明できると

  • 次世代型逆遺伝学による睡眠遺伝子Nr3aの発見 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)生命システム研究センター合成生物学研究グループの上田泰己グループディレクター、砂川玄志郎 元研究員(現 理研多細胞システム形成研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクト研究員)、鵜飼(蓼沼)磨貴テクニカルスタッフⅠ、ディミトリ・ペリン元研究員(現 客員研究員)、高速ゲノム変異マウス作製支援ユニットの隅山健太ユニットリーダーらの研究チームは、特定の遺伝子をノックアウトした個体を、交配を必要とせず効率よく作製する「トリプルCRISPR法」と、呼吸パターンを用いることで非侵襲かつ高効率に睡眠表現型解析[1]を行う「SSS(Snappy Sleep Stager)」を開発し、次世代型の逆遺伝学を実現するプラットフォームを確立しました。そして、この手法により新たな睡眠遺伝子「Nr3a」を、マウスを使った実験で発見しました。 特定の遺伝子を改変したりノックアウトし、どのよう

  • 113番元素の命名権獲得 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所仁科加速器研究センター超重元素研究グループの森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)を中心とする研究グループ(森田グループ)[1]が発見した「113番元素」を、国際機関が新元素であると認定しました。12月31日、国際純正・応用化学連合(IUPAC)より森田グループディレクター宛てに通知がありました。これに伴い、森田グループには発見者として新元素の命名権が与えられます。欧米諸国以外の研究グループに命名権が与えられるのは初めてです。元素周期表にアジアの国としては初めて、日発の元素が加わります。 森田グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[2]」の重イオン線形加速器「RILAC[3]」を用いて、2003年9月から亜鉛(Zn:原子番号 30)のビームをビスマス(Bi:原子番号 83)に照射し、新元素の合成に挑戦してきました。

    motoson
    motoson 2015/12/31
    プレスリリース来た
  • 上皮細胞が自律的に集団で移動する仕組みの発見 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター組織形成ダイナミクス研究チームの倉永英里奈チームリーダーらの研究グループ※は、ショウジョウバエの雄の外生殖器が時計回りに1回転する形成過程をライブセルイメージング[1]で詳細に観察することで、外生殖器を取り囲む上皮細胞シート[2]が時計回りに自律的に回転する仕組みを実験と数理モデルによって明らかにしました。 1個の細胞(受精卵)が私たちの体を作り上げる過程では、初めに作られる単純なシート状の上皮組織が、折り畳み・伸長・陥入・移動などの単純な変形を経て、複雑な器官を作り上げます。中でも上皮細胞シートの協調的な移動は、初期胚の原腸陥入[3]や血管形成、乳腺分岐の形成など、形作りにおいて重要な役割を果たします。しかし、どうやって上皮組織としての特性である接着を保ったまま移動できるのか、どうやって同一方向に協調的に動けるのか、その仕組みの多く

  • 理研神戸キャンパス(第1地区)一般公開、開催しました! | 理化学研究所

  • マウスの「父性の目覚め」に重要な脳部位を発見 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合センター親和性社会行動研究チームの黒田公美チームリーダー、恒岡洋右研究員(研究当時)、時田賢一研究員らの研究チーム※は、オスマウスの子育て(養育行動[1])意欲が「cMPOA」と「BSTrh」の2つの脳部位の活性化状態から推定できることを発見しました。 ほ乳類の子は未発達な状態で生まれ栄養源を母乳に頼るため、親による養育が不可欠です。メスマウスは若い時から子の世話をすることが多く、さらに母親になる時には出産時の生理的変化[2]により養育行動が強化されます。一方、交尾未経験のオスマウスは養育せず、子に対して攻撃的ですが、メスとの交尾・同居を経て父親となると、よく養育するようになります(父性の目覚め)。黒田チームリーダーらは2013年に、フェロモンを検出する鋤鼻器(じょびき)[3]の阻害がオスマウスの子への攻撃を抑え、養育を促すことを見いだしています注1)。

  • 電気で生きる微生物を初めて特定 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所環境資源科学研究センター生体機能触媒研究チームの中村龍平チームリーダー、石居拓己研修生(研究当時)、東京大学大学院工学系研究科の橋和仁教授らの共同研究チームは、電気エネルギーを直接利用して生きる微生物を初めて特定し、その代謝反応の検出に成功しました。 一部の生物は、生命の維持に必要な栄養分を自ら合成します。栄養分を作るにはエネルギーが必要です。例えば植物は、太陽光をエネルギーとして二酸化炭素からデンプンを合成します。一方、太陽光が届かない環境においては、化学合成生物と呼ばれる水素や硫黄などの化学物質のエネルギーを利用する生物が存在します。二酸化炭素から栄養分を作り出す生物は、これまで光合成か化学合成のどちらか用いていると考えられてきました。 共同研究チームは、2010年に太陽光が届かない深海熱水環境に電気を非常によく通す岩石が豊富に存在することを見出しました。そして、電

  • 異なる環境を区別するオーシャンセルの発見 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所脳科学総合研究センター理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長、北村貴司上級研究員、チェン・サン大学院生らの研究チームは、脳の大脳嗅内皮質[1]において、異なる環境を区別する神経細胞群を発見しました。 私たちはさまざまな出来事に出合い、それらを記憶しています。この記憶には「何が」、「どこで」、「いつ」という情報が含まれます。このようなエピソード記憶と呼ばれる記憶の形成には、大脳嗅内皮質-海馬[2]間の神経回路が関わっていることが知られています。これまで、「どこで」についての記憶情報(環境情報)は、多様な情報が海馬の神経回路内で統合されることで、生成されると考えられてきましたが、大脳嗅内皮質の神経細胞が環境情報の生成にどう関わるかは、分かっていませんでした 今回、研究チームは、大脳嗅内皮質内の神経細胞群が、環境情報をどのようにコードしているかを、最先端の遺

  • スーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を奪還 | 理化学研究所

    Graph500の詳細について(英語) Graph500とは 近年活発に行われるようになってきた実社会における複雑な現象の分析では、多くの場合、分析対象は大規模なグラフ(節と枝によるデータ間の関連性を示したもの)として表現され、それに対するコンピュータによる高速な解析(グラフ解析)が必要とされています。例えば、インターネット上のソーシャルサービスなどでは、「誰が誰とつながっているか」といった関連性のある大量のデータを解析するときにグラフ解析が使われます。また、サイバーセキュリティや金融取引の安全性担保のような社会的課題に加えて、脳神経科学における神経機能の解析やタンパク質の相互作用分析などの科学分野においてもグラフ解析は用いられ、応用範囲が大きく広がっています。こうしたグラフ解析の性能を競うのが、2010年から開始されたスパコンランキング「Graph500」です。 規則的な行列演算である連

  • 光遺伝学によってマウスのうつ状態を改善 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長、スティーブ・ラミレス大学院生らの研究チームは、うつ様行動[1]を示すマウスの海馬[2]の神経細胞の活動を操作して、過去の楽しい記憶を活性化することで、うつ様行動を改善させることに成功しました。 一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しくない、などの症状を示すうつ病は、日においても入院と外来合わせて約96万人もの患者がいると言われています(厚生労働省による2011年患者調査)。しかしながら、一般的に使われている治療薬の効果は個人差が大きく、うつ病の克服は容易ではありません。研究チームは2014年に、最新の光遺伝学[3]を用いて、マウスの嫌な体験の記憶を楽しい体験の記憶に書き換えることに成功しました。「うつ病では、それまで楽しかったことが楽しくなくなるなど、過去の楽しい体験を正しく

  • 非対称な光学迷彩装置を理論的に実証 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)理論科学研究推進グループ階層縦断型基礎物理学研究チームの瀧雅人研究員と東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センターの雨宮智宏助教と荒井滋久教授らとの共同研究チームは、非対称な光学迷彩を設計する理論を構築しました。 光学迷彩は、光を自在に曲げる装置を設計、開発することで、物体や人を光学的に見えなくする技術です。これまで様々な理論的提唱や実験的な確認がなされてきました。しかし、光学迷彩装置は向かってくる光を迂回させることで、装置自体を見えなくしています。したがって、装置内に入射する光がなく、装置内からは外部を見ることができませんでした。このように、これまでの原理では外部からも内部からも見えないという“対称的”な振る舞いを示す光学迷彩装置しか作ることができませんでした。そこで共同研究チームは、光に仮想的にクーロン力[1]とローレンツ力[2]を働かせる光学迷彩装置を提

  • 理研グッズ | 理化学研究所

    定規(富岳)NEW 「スーパーコンピュータ富岳」をモチーフにした定規です。 長さ20㎝の体に、さまざまな角度から見た富岳の写真と、1㎝につき10倍増える対数目盛も入っています。 素材は植物由来樹脂で、生分解性です。

  • 記憶痕跡回路の中に記憶が蓄えられる | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長らの研究チーム※は、従来記憶の保存に不可欠だと考えられていたシナプス増強[1]がなくても、記憶が神経細胞群の回路に蓄えられていることを発見しました。 私たちの記憶は、はじめは不安定ですが、記憶の固定化[2]というプロセスを経て、より長期的な記憶に変化します。記憶は記憶痕跡[3]とよばれる神経細胞群とそれらのつながりに蓄えられると考えられています。記憶が長期的に保存されるには、この記憶痕跡細胞同士のつながりを強めるシナプス増強という過程が不可欠であるとされています。実際、実験動物においてシナプス増強を薬剤で阻害すると、過去のことを思い出せなくなることが分かっています。しかし、記憶の固定化プロセスの中で、記憶痕跡を形成する神経細胞群そのものにどのような変化が起きているのかは、まったく分か

  • 卵母細胞の分裂では微小管と染色体の接続が不安定 | 理化学研究所

    要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター染色体分配研究チームの北島智也チームリーダーらの研究チーム※は、卵母細胞[1]の2回の細胞分裂のうち、母方の配偶子(卵子)と父方の配偶子(精子)由来の相同染色体[2]が分配される「減数第一分裂[3]」では、微小管と染色体の正しい接続が不安定になりやすいことを発見しました。 卵母細胞は、減数第一分裂を経て卵子となります。排卵された卵子が受精すると減数第二分裂を完了し、受精卵となって胚発生を開始します。減数第一分裂では、相同染色体が正しく卵子に分配されなくてはなりません。染色体の分配に誤りがあると、流産やダウン症などでみられる染色体数の異常につながります。染色体が正しく分配されるには、微小管が染色体に正しく接続し、その接続が安定する必要があります。微小管は主に染色体上の「動原体[4]」に接続します。体細胞分裂では、微小管が動原体に正しく接

  • 松本紘理事長が「理研 科学力展開プラン」を発表 | 理化学研究所

    日、松紘理事長が記者会見を行い「理研 科学力展開プラン」を発表しました。 理研 科学力展開プラン ~ 世界最高水準の成果を生み出すための経営方針 ~ 我が国がイノベーションにより、地球と共生し、人類の進歩に貢献し、世界トップクラスの経済力と存在感を維持するため、理研は、総合研究所として研究開発のポテンシャルを高め、至高の科学力を以って国の科学技術戦略の担い手となる。 そのため、大学と一体となって我が国の科学力の充実を図り、研究機関や産業界との科学技術ハブ機能の形成を通してこれを展開することにより、世界最高水準の成果を生み出すべく、次の五つの柱に沿って、高い倫理観を持って研究活動を推進する。 1. 研究開発成果を最大化する研究運営システムを開拓・モデル化する 理研全体の最適化に向けて部機能を強化。また、定年制と任期制の研究人事制度を一化し、新たなテニュア制度を構築する等、研究開発成果

    motoson
    motoson 2015/05/23
  • 昭和17年制作!理研紹介映画「科学の殿堂」 | 理化学研究所

  • 熱愛中にドーパミン神経が活性化する脳領域を解明 | 理化学研究所

    熱愛中にドーパミン神経が活性化する脳領域を解明 -恋人を見てドキドキすると、前頭葉の2つの領域が活性化する- 要旨 理化学研究所(理研)ライフサイエンス技術基盤研究センター 健康・病態科学研究チームの渡辺恭良チームリーダー、高橋佳代研究員、水野敬上級研究員らと、ロンドン大学のセミア・ゼキ教授、および大阪市立大学との共同研究グループは、恋人の写真を見た時に活性化するドーパミン神経[1]が、前頭葉の内側眼窩前頭野(ないそくがんかぜんとうや)[2]および内側前頭前野(ないそくぜんとうぜんや)[3]の2つの領域に局在し、特に内側眼窩前頭野のドーパミン神経がその時の気持ちの高まりの強さに関わっていることを、陽電子放射断層画像法(PET)[4]を使って明らかにしました。 熱愛中のカップルに恋人の写真を見せると、大脳の特定領域が活性化することが共同研究グループのセミア・ゼキ教授らによる機能的MRI法(f

  • 融合連携イノベーション推進棟の完成について | 理化学研究所

    理化学研究所は産業界をはじめとする様々なセクターと連携を一層強化し、我が国のイノベーション推進に貢献するため、融合連携イノベーション推進棟(英文名 Integrated Innovation Building 略称IIB)を開設しましたので、ご紹介いたします。 1 施設概要 融合連携イノベーション推進棟は、企業との協働により理研発の多様なシーズを実用化することを目的として、日最大級のバイオメディカルクラスターである神戸医療産業都市に開設した施設です。 これまでの理研の産業連携の制度に加えて、理研が共同研究専用の場所を設置し、理研の知のネットワークをフルに活用することにより、社会に役立つ画期的な成果を生み出すための新しいこころみです。 また、企業と理研との共同研究開発のためだけでなく、自らの新しい発想でイノベーションの創出を目指す研究者/起業家が理研の研究資源を活用する場として利用頂く事が