昭和45年(1970)、私が30歳になったとき、たまたま、松下幸之助が、「きみ、幾つや」と聞く。 「今年、ちょうど30歳になりました」と答えると、「そうか」と言って、加藤清正の話をしてくれた。 「30代はいちばん充実した時期だった」 「きみ、加藤清正、知っとるやろ。あの清正は、熊本城を造ったのは、30代や」。 確かに、日本の三大名城のひとつと言われている熊本城は、清正が29歳の時、天正19年(1591)に築城に着手し、15年後、慶長11年(1606)に完成している。清正が44歳のとき。まさに30代に、今日まで名城と言われる城をつくり上げたことになる。 「30代でも、そういうことができるということやね。いや、30代は、わしの30代を考えてみても、いちばん充実した、手応えのあるときやったな。事業部制を考えたしね。綱領とか、基本方針とかもつくったな。うん? 34歳のときや。非常に活発に活動してた
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