ベトナム系アメリカ人の作者による、家族の歴史をたどる自伝的グラフィックノベル。物語は2005年、ニューヨークで作者のブイが出産する場面から始まる。母親となった彼女の現在の体験と、ベトナムで育った両親の幼少期からの人生の断片が交差しながら物語は進み、一家がベトナムからアメリカに脱出する過程も描かれる。その家族史は5世代にわたり、第二次世界大戦や第一次インドシナ戦争、ベトナム戦争といったベトナム近現代史の苛烈な時代のうねりが家族の歩みに重なる。本作は作者にとって、初めてのグラフィックノベル作品となった。大学院でのオーラル・ヒストリーの研究で両親の人生と向き合ったことを機に、家族の記憶を語る術としてマンガの描き方を一から学んだという。黒いインクの線画に加えて、朱色の水彩が、時に血や炎として濃く強く、あるいは家を包む暖かな空気を表わす淡い滲みとなって、連綿とつづく親と子の物語を染める。 本作は家族
![私たちにできたこと――難民になったベトナムの少女とその家族の物語 - 文化庁メディア芸術祭 - JAPAN MEDIA ARTS FESTIVAL](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/55511bdafdc1f5cd6a717b31f4dd84975dffcca6/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fd1fwgdbfuvd4ew.cloudfront.net%2Fwp-content%2Fuploads%2F2022%2F02%2FMAN-05_THE_BEST_DN001942.jpg)