大男たちが一投一打に命を懸けるグラウンド。選手、そして見守るファンを一喜一憂させる白球の行方――。そんな華々しきプロ野球の世界の裏側では、いつの時代も信念と信念がぶつかり合う瞬間があった。あの確執の真相とは? あの行動の真意とは? 第1回では“孤高の鬼才”と呼ばれた男、門田博光の光と陰に迫る。 【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます 「引退後、友人はいません。一匹狼やったからね。勝負の世界はひとりでいい、プロならば周囲になんと言われようとも成績を残すことだけを突き詰めればいい。“19番”との一件から、そう思って一切人を寄せつけてこなかった。でも、引退したら横の繫がりがないから大変やね。話し相手もいないし……」 73歳の門田博光は、静かな笑みを浮かべながら息を吐くようにそう言った。’70~’80年代に南海、オリックスで活躍した往年の大スラッガーの絞り出した吐息はあまりに