本記事は資生堂ジャパン株式会社 執行役員 マーケティング本部長(CMO)の音部大輔氏による寄稿記事となります。 無目的について そもそも人間は無目的に生まれてきます。もう少し正確にいえば、目的を認識しない状態で生まれてきます。認識能力が高まるにつれ、多くの人は何のために生きているのか、といった人生の根源的な疑問を持つようになります。思春期の頃に、何だかよくわからないまま「哲学」が気になったりもします。学校を出て就職し、あるいは自分で仕事を始めたりする頃には、この疑問には慣れっこになって、頻繁に意識に上ることも減ってくることでしょう。実際、この疑問に答えを持たなくても大きな問題は発生しないことが、経験的にも分かってきます。人生の目的は曖昧なまま、社会の一般的な期待に応えることに集中していきます。とりあえず目の前の試験に受かり、とりあえず目の前の仕事で大きな失敗をしないようにしておけば、毎日は