第一線で活躍する和食の達人から将来を担う子どもたちへ想いをつなぐ連載企画「未来へつなぐ和食」。今回は和食の神髄を味わえるとされる会席、懐石について、東京都・赤坂で日本料理店「赤坂おぎ乃」を営む荻野聡士さんにお聞きしました。聞き手は、料理が趣味で、和食の料理人に強いあこがれをもつ黒木蘭さんです。 黒木蘭さん(以下、黒木)荻野さんのお店ではどのような料理を食べられるのですか? 荻野聡士さん(以下、荻野)伝統的な日本料理を10品ほどお出しします。一品ごとの量を少なくして、コース仕立てにした現代風の会席、「会う席」と書く料理です。少しややこしいのですが、同じ「かいせき」という言葉でも異なる日本料理があります。 黒木どう違うんですか? 荻野「懐に石」と書く懐石もあります。懐石はおもてなしのための料理で、茶懐石とも呼ばれ、茶の湯(お茶会)の前にお腹を満たすための軽食が起源です。ご飯は料理の前にいただき