あの人は今日もやって来た。 「疲れが取れたせいで頑張り過ぎちゃって、また疲れが溜まっちゃいました。」 予想通りだ。 きっと元気になったらまた疲れて来るだろうと思っていた。 「なんか無いですかね。」 といつものセリフを口にする。 そして、徐ろにカウンターに飾ってあった花瓶を見た。 「これいい花瓶ですね。」 と言った。 この前実家に捨ててあった花瓶を適当に拾ってきて飾ってあったのだ。 その時、私の中の何かのスイッチが入った音がした。 私は、 「分かりますか。これはうちの薬局に代々伝わる由緒正しき花瓶なんです。あらゆる病を取り去る効果があるんです。今の薬局があるのはこの花瓶のおかげなんですよ。」 と昨年届け出たばかりの開設届を見ながら説明してしまった。 何言ってんの私、そんなキャラじゃないのに!と焦ったが、その人は、 「ええ、すごいですね。疲れにも効きますか?」 と漏れ無く言ってきた。 「もちろ