編集部から:本連載では、IT業界にさまざまな形で携わる魅力的な人物を1人ずつ取り上げ、本人の口から直接語られたいままでのターニングポイントを何回かに分けて紹介していく。前回までは、宇陀氏がIBMの営業で好成績を上げて営業部長になったところまでを取り上げた。今回、初めて読む方は、ぜひ最初から読み直してほしい。 1996年、宇陀氏に一大転機が訪れる。 それまで13年間、日本IBM大阪事業所で営業に携わってきた同氏はこの年、同社の社長補佐のポストに抜てきされたのである。社長補佐といえば、経営上極めて重要な職務であると同時に、将来は幹部への道が約束されたキャリアポジションである。想像するに、IBMの社員であれば誰もがあこがれるぐらいのポストではないだろうか。 ところが、このオファーを受けた宇陀氏が見せた反応は意外なものだった。 「当時、担当していたお客さんが大変な状況にありましたから、いまはとても