【ローマ=南島信也】水の都ベネチアで、清涼飲料水の自動販売機設置をめぐり、「財政か景観か」で熱い論争が起きている。財政難にあえぐ市当局がコカ・コーラの自販機設置を認めたのがきっかけ。「巨大企業が自販機でベネチア侵略の準備をしている」(23日付ラスタンパ紙)など、反発が広がっている。 世界遺産にも指定されているイタリア北部のベネチアは、地盤沈下や地球温暖化などの影響でしばしば浸水する。水没を防ぐために、アドリア海とつながる水路に可動式の水門を建設する「モーゼ計画」が進められている。だが40億ユーロ(約4800億円)前後にのぼるとみられる総工費の一部を負担する市の財政を圧迫。市は自販機を設置するコカ・コーラ・イタリア社から5年間で210万ユーロ(約2億5千万円)を得る契約を今週中にも交わすことにした。 これに対し、地元飲食店や市民は「景観を損なう」と猛反対。一方、市側は23日、自販機60台