ドナルド・トランプ次期米大統領は、どんなカードを切り、どんな政策を展開するのか――。世界各国で今、自国の国益がかかった真剣な「トランプ占い」が行われている。だが、間違いないのは、トランプ氏が大統領選で一貫して訴えてきた「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)が政権の基本戦略になることだ。超大国の自国本位路線に導かれる混迷の世界の見通しや、日本を含む国際社会が「トランプのアメリカ」を制御する術について、読売新聞のアメリカ総局長、国際部長をつとめた岡本道郎・調査研究本部主任研究員が大胆に読み解く。 世界は未知の領域へ 不動産王ドナルド・トランプ氏が米国の第45代大統領に就任する2017年1月20日以降、世界はこれまで体験したことのない未知の領域に踏み入る。 自由と民主主義の旗印ではなく、「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)を公然と掲げる政治経験ゼロのビジネスマンが、第2次世界大戦後、70年