かつて一読はしたが、「文藝春秋」とは異なり、74年の「諸君」はあまり図書館で保管されていないので、こうして30年以上も経って復刻されて再読すると感慨深い。この歳になって読み直してみると(つまり当時の筆者らと同年くらいの歳)、書き様がけっこう荒っぽいし不用な修辞も多く見られる。はたしてこれが「中学生でもわかる」本だろうかと少し考えて、しかし生意気だった自分の中学生時代を思えば、小利口な中学生なら十分読めるだろう。さて、ここでためらうのだが、本書は、冷静に評価すれば、トンデモ本であろう。 私は、山本七平の心酔者であり、30年以上もイザヤ・ベンダサンの追っかけ読者でもあった。両者の関係についてはここでは触れない(なのであまりべたなツッコミもやめてくださいね)が、二者が同じテーマでしかもほぼ同時期に書いたものを並べてみると、考え方はさすがに同じだが、究極の部分を見つめる視線に差を感じる。単純に言え