大英博物館の至宝で、古代エジプトの象形文字解読の手掛かりになったロゼッタストーンについて、エジプトが返還要求を強めている。「エジプトの象徴」の早期返還の主張に対して、博物館側は拒否。論争の行方は、最近広がっている欧米美術館・博物館の収蔵品をめぐる返還運動に大きく影響しそうだ。 返還を迫っているのは、エジプト考古最高評議会のザヒ・ハワス事務局長。フランスのルーブル美術館が所蔵する古代エジプト期の「王の石柱」の返還に成功した“つわもの”で、近くロンドンを訪れ、エジプト研究者らから賛同を取り付ける意向だ。 ベルリンやボストンの美術館にも収蔵品返還を求めるハワス氏は、英紙タイムズに「盗まれた遺産は取り戻す」と宣言。一方の大英博物館側は「コレクションは全体として維持しなければならない」と断固拒否の構え。(共同)