万引きなど小売業における犯罪と損失(ロス)に関する世界規模の調査が、英国の調査機関センター・フォー・リテイル・リサーチ社により、初めて行われた。 この調査結果から、世界32カ国における2007年の小売業のロスは、売上高の1.36%にあたる986億ドル(約11兆4000億円)にも上ることが分かった。ロスの最大の要因は顧客による盗難、いわゆる万引きで、ロスの42.0%を占めた。その金額は約5兆円になる。 取材・文/医療ライター 伊藤 左知子 2007年12月26日 店員の目を盗んで、手に取った商品をさっと手提げカバンに放り込み、料金を払わずに何食わぬ顔で店を後にする万引き犯の映像を、わたしたちは、テレビの報道特集などで目にする。 この顧客による窃盗は、経済社会が抱える深刻な社会問題である。中には万引きによる被害で業績悪化に追い込まれたスーパーやコンビニなどもあるという。小売企業が抱え