中国・北京の自宅で母親とともにAFPの取材に応じる、リー・シュエさん(右、2015年10月31日撮影)。(c)AFP/GOH CHAI HIN 【11月5日 AFP】中国・北京(Beijing)生まれのリー・シュエ(Li Xue)さん(22)は、これまでずっと同市で暮らしてきたが、国家の観点からすれば、彼女は存在しないことになっている──。シュエさんは、同国の「一人っ子政策」に両親が違反したことで生まれた、全国に数百万人いるとされる「ブラックチルドレン(黒孩子)」、すなわち無戸籍児の一人だ。 シュエさんには学校へ通ったり医療を受けたりする権利はなく、雇用契約の「しっかりした仕事」に就くこともできない。出生や身分を証明できる書類がないため、結婚はおろか、公共の図書館を利用する、電車に乗るといったことさえままならない。 「一人っ子政策」は特例を除き、夫婦が持てる子どもの数を1人に制限するという