私は上海、北京、太原、香港といった中国語圏の町で27年間を過ごした。53年の人生のちょうど半分である。そんな私は日本でたまに、「日本で中華を食べるならどこがおすすめですか」という質問を受けることがある。私にそう尋ねる人たちが期待しているのは、「そんなに長く中国や香港にいたのだから、さぞや本場の味を出す店を知っているだろう」ということなのだろうと思う。 だから私が、「横浜中華街で600~800円台の日替わりランチを出すような店ならどこでもまず安心じゃないですか」、と答えると、みな一様に物足りなさそうな顔をする。恐らくみな、日本在住の中国人相手に発展し新たなチャイナタウンとして台頭してきた池袋や埼玉県の西川口にある店の名前が出てくるのを期待していたのだろうから、横浜中華街というなんのひねりもない答えにさぞや落胆するのだろうと申し訳なくは思う。 ただこうした彼らの落胆の裏には、池袋や西川口の「デ
![新興チャイナタウンと高齢化ニッポンの共生](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b209c1df44efd88106e1522643e212b25dceeb6f/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkei.com%2Fatcl%2Freport%2F15%2F258513%2F010700086%2Ffb.jpg)