過去の論文に使ったデータを別の論文に使い回ししたとして、09年12月に東北大を懲戒解雇された同大大学院歯学研究科の元助教、上原亜希子さん(41)が大学側に地位保全と賃金支払いを求めた仮処分申請で、仙台地裁は14日付で解雇を無効とし、賃金の一部支払いを命じる決定をした。 同地裁の本多哲哉裁判官は決定理由で「従前の実験データと類似したデータが、事後の実験でも得られることがあり得る。実験データを流用した不正行為の真偽は不明」と指摘。上原さんが再実験を申し出たのに拒否するなど、東北大の懲戒処分の手続きに問題があったと認定した。 上原さんは17日に会見し「正当に判断していただき、ほっとした気持ち。大学もこの結果を理解してほしい」と述べた。東北大は「主張が認められず誠に遺憾。内容を精査し、対応を検討する」とのコメントを発表した。【須藤唯哉】