最近、北極圏における石油や天然ガスをめぐる動きが活発化し、世界の注目を集めている。きっかけになったのは、2007年8月のある出来事。当時プーチン大統領下だったロシアが潜水艇で北極圏におもむき、アルトウル・チリンガロフ下院副議長が北極点下の海底4200m地点に、ロボットアームを使ってチタン製のロシア国旗を立てた。北極圏をロシア領としたかのような、このデモンストレーションの情報は、すぐさま世界中を駆けめぐった。 各国の領海は、1994年に発効された「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」の排他的経済水域(EEZ)と呼ばれる取り決めによって、通常、自国の沿岸から200カイリ(1カイリ=1.852km)と定められている。しかし、海底が自国から伸びる大陸棚であると認められれば、EEZを超えても領土と主張できるという規定も国連海洋法条約にはある。この規定を利用して、ロシアは北極圏を自国の領土