分かりやすい言葉を使って人間の温かみを描いた叙情詩で知られる詩人の吉野弘(よしの・ひろし)さんが15日、肺炎のため静岡県富士市の自宅で死去した。87歳だった。葬儀は近親者で行われた。後日、本葬を開く予定。 山形県酒田市出身。散文詩「I was born」で注目を集め、1953年、同人詩誌「櫂(かい)」に参加。71年の詩集「感傷旅行」で読売文学賞、90年に詩集「自然渋滞」で詩歌文学館賞を受ける。94年に「吉野弘全詩集」を刊行した。 電車の中で若い女性がお年寄りに席を譲る際の微妙な感情の動きを女性を包み込むような筆致で描いた「夕焼け」など、日常生活の中にひそんだ感情の機微を描いた詩で知られる。結婚式のスピーチで読まれる「祝婚歌」は有名。 石油会社に勤め、労働組合運動に従事した経験もあった。国語の教科書に掲載された作品も多い。
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