住居の間取図を見て楽しめる人がいるように、地図を見てその先の光景に思いを巡らせ楽しめる人もいる。地図上から読み取れる地形や街、河川の形状などから、その場所や住む人間達を想像し、あたかも自分もそこにいるような思いを馳せれる心地よさがあるからだ。 本書はナショナルジオグラフィックから出版された地図を纏めた一冊である。太古の地図から、空想世界の地図、大遠征や探検の地図、衛星写真の地図まで、人々がどのように世界を捉え、想像し、工夫し、活用してきたかを美しい図版でたどることができる。 冒頭に紹介された写真で目を見開いてしまった。マンモスの牙に描かれた「パブロフ図」。紀元前2万5000年とあるが実はこの図自体、地図かどうか今も議論がなされているそうだ。もし本当に地図だとすれば、これまで最古と考えられてきた紀元前700~500年頃の古代バビロニアの粘土板(イラク出土)よりもずっと以前の制作物となる。地図
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