2005年、『星の王子さま』の著作権保護期間が終了したことに伴って、複数の出版社からさまざまな翻訳者による新しい訳が登場し、“新訳ブーム”のさきがけとなった。また、村上春樹による名作の新訳も話題を呼び、各出版社が次々と新訳本を発売している。新訳本の魅力はなんといっても読みやすいことだが、その裏には編集者の個人的な実感に基づいた工夫が凝らされていた! オススメの新訳本を紹介するこの特集を機に、新たな読書体験をしてみてはいかがだろうか。 (文/ 萩原まみ 構成/ 根村かやの) 『カラマーゾフの兄弟』の新訳が爆発的に売れている。本が売れないと言われるなか、全5巻の累計が80万5000部だというから驚きだ。新訳『カラマーゾフの兄弟』は、2006年9月にスタートした「光文社古典新訳文庫」からの刊行で、同文庫のなかでも突出した売れ行きを見せている。ここまでの大ヒットではないが『ちいさな王子』『飛ぶ教室