電子書籍市場の拡大を目指して設立された「出版デジタル機構」が今月から業務を始めている。書籍の電子化をサポートし、点数を増やそうとする取り組みには市場の期待も高いが、新刊の取り扱いや機構の具体的な業務内容が見えないことへの不安の声もある。(森本昌彦)チャンスという意識に 「出版社はこれまで不安感から電子書籍に取り組んでいたが、市場が広がっていけば、チャンスとしてやっていこうという意識に切り替わっていくはず。その呼び水になりたい」 出版デジタル機構の植村八潮(やしお)社長は機構の目的についてこう話す。市場が広がるためには、コンテンツの確保が欠かせないが、植村社長は経済産業省の「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)に期待する。 電子書籍市場の拡大を通じ、東日本大震災の被災地からの「知」へのアクセス向上を目指す事業で、書籍電子化にかかる費用の半分が補助される。電子化のノウハウがない出版社は電子化代