■概要 英国におけるアーカイブは、世界的に貴重な資料を保存していることで有名な大英図書館と国立公文書館が、主に支えている。本稿では、引き続く緊縮財政の下、自らの持つ資源やスキルを活用しながら、多様な組織や人材との柔軟な協働作業により、費用を抑制しながらデジタルアーカイブ事業を進めている英国の状況を報告する。 英国における記録保存は、納本制度に支えられた寄託図書館(注1)である大英図書館(British Library)と公的な記録を保存する国立公文書館(National Archives)が主に支えている。いずれの機関も、世の中のデジタル化が進展するに従い、数十年来資料のデジタル化作業を進めている。また、納本制度を支える法律(Legal Deposit Libraries Act 2003)も非印刷媒体で公開される資料に対応する作業が進んでいる。昨年5月には改正法案のパブリックコンサルテー