■「知の提供」の手段とは 佐賀県にある武雄市図書館が今年4月にリニューアルオープンし、貸し出しとならんで本と雑誌の販売を行っている。その武雄市図書館に9月に行ってみた。リニューアルについて樋渡啓祐市長が『図書館が街を創(つく)る。』で語っている。 図書館と書店を運営しているのは、指定管理者となったCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)だ。 この武雄市のトライアルには批判も多い。指定管理者制度は安上がりのための下請け化だという従来の批判に加えて、図書館利用カードが「Tカード」になることによって、読書記録がCCCに利用されるという危惧の声もあがっている。 市長の記者会見をネットで見直してみた。市長の改革意欲は抜群に高いが批判への対応は乱暴にみえる。逆説的になるが、このある種の乱暴さがこれほどの改革をあっさり実行する力の源なのかもしれない。 トライアルの最大のポイントは、本と雑誌の
約3千の全国の公共図書館に電子書籍を提供する事業に、KADOKAWA(旧角川グループホールディングス)、講談社の大手出版2社と紀伊国屋書店が乗り出す。現在は、図書館による電子書籍の貸し出しは一部の試行的な範囲にとどまっている。大手が作品を提供することで、利用者は売れ筋の電子書籍を無料で読めるようになる。 KADOKAWAの角川歴彦会長が3日に始まった東京国際ブックフェアで明らかにした。今秋にも3社が出資して新会社を設立し、貸し出しの仕組みづくりや図書館との交渉を進める。小学館も賛同し、参加企業が増える可能性もある。「スピード感が重要」と年内にも開始を目指す。 出版社は、作家ら著作権者の同意を得て、新会社経由で図書館に有償で電子書籍を提供。利用者は、館外からネット経由でタブレット端末やパソコンなどを使って無料で一定期間読めるようになる見通し。 これまで、大手出版社は電子書籍の販売に悪影響が出
検索エンジンの世界最大手グーグルは、9月25日、電子書籍ストア「グーグルプレイブックス(Google Play Books)」を日本向けにオープンした。同社初のタブレット端末「ネクサス7」を同日、日本国内で発売開始したことに合わせたものと思われる。 ネクサス7の開封から設定までの写真特集はこちらから 日本進出が噂されているアマゾンの「キンドル」や、そして日本ですでにビジネスをスタートさせている楽天の「コボ」、それにソニーの「リーダー」などと比べて、ストアの使い勝手や電子書籍の読みやすさはどうだろうか? 米国で購入したネクサス7でチェックしてみた。 「グーグルプレイブックス」(写真1)は米国では2010年夏に開設された電子書籍サービス。当初の名称は「グーグル・エディションズ」で、その後「グーグルイーブックストア」と改称、2012年3月に再度改称され、現在の名称になった。アマゾンやアップルなど
■トーハン、年内に3000店にシステム 出版取次大手のトーハン(本社・東京都)は、取引がある全国の書店のうち約3千店で、電子書籍を店頭販売できるシステムを年内に立ち上げる方針を固めた。棚から棚へと本を探し、立ち読みした上で買える書店の便利さを、電子書籍販売でも生かすのが狙い。 トーハンがつくるのは、電子書籍のデータベースと代金決済のシステムで、書店にインターネット経由で提供する。書店は、電子書籍コーナーをつくって、同タイトルの紙の本を並べたり、書名や内容紹介などを書いたカードを並べたりして、客にアピールする。 客はレジに紙の本やカードを持っていき、電子書籍の代金を支払う。店員は電子書籍の引換券を発行。客はその後、パソコンやスマートフォンなどで電子書店サイトにアクセス。引換券の番号を打ち込んだり、QRコードを読み取らせたりして、電子書籍をダウンロードする。 紙の本の販売では通常、書店が定価の
ソニーは今秋から、インターネット上で電子書籍を売る同社のサービス「リーダーストア」を、他社製のスマートフォンでも利用できるようにする。これまでは電子書籍専用の端末「リーダー」などソニー製向けにしか売っていなかった。 専用端末を売ることに主眼を置くビジネスから、電子書籍というコンテンツを売るビジネスへと軸足を移す。年内にも日本に参入する世界最大手アマゾンに対抗するねらいがある。 まずは6月末からソニーのスマホ「エクスペリア」シリーズで、「リーダーストア」の電子書籍を買えるようにする。その後、基本ソフト(OS)にグーグル製のアンドロイドを採用した他社のスマホやタブレット端末でも利用できるようにしていく。 ソニーは2009年に米国で電子書籍端末「リーダー」を発売。同時に電子書籍の販売も始め、その後日本や欧州にもサービスを広げた。ただ、リーダーの累計販売台数は100万台程度とみられ、累計1千万台超
酒も楽しむ社交の場 日本文学研究者・マイケル・エメリックさん[掲載]2009年10月27日朝刊■〈秋の読書特集〉ミステリーを読もう/読書会の楽しみ 「フレッドたちと読書会を始めたよ。最初の課題図書は『罪と罰』だから、急に忙しくなった」と母が電話で伝えてきたのは、2年前のことである。何十年来の旧友であるフレッドとマリリンは、両親と同じく幸せなリタイア生活をおくっており、一緒に旅行をするなど自分たちの時間を楽しんでいる。 「大学時代に読んだけど、当時は十分に理解できなかった小説を皆で読み直し、語り合おうという会なのだけど、どうなるかな。マリリンは元英米文学の先生だし、フレッドはとにかく熱くて議論が好きだからね」 2年を経た今も、「熟年読み直し読書会」はまだつづいている。というよりもますます脂が乗ってきているようだ。他の友人が8人も加わり、月に2回、夜の7時半からメンバーの家に集まり、ワインやら
〈本の舞台裏〉図書館協、新政権に期待[掲載]2009年9月6日 今後の図書館の在り方をどう考えるのか――。全国の公共図書館、学校図書館などが加盟、4800人の個人会員がいる日本図書館協会(東京都中央区)が、総選挙の直前、主要8政党に聞いた書面アンケートの回答がある。 質問は、公共図書館のない自治体をなくす、専任の司書の配置、財政的な支援策、政府刊行物の無償提供についてなど多岐にわたった。民主、自民、共産、国民新党の4党が回答。いずれも整備・充実に前向きな姿勢だった。 政権を担うことになった民主党は「生涯にわたる学問の自由と、多様な学習機会の充実、社会教育の充実は、図書館や博物館、公民館等の施設と機能の整備などによって図られる」「学校図書館の整備・充実を進めるなど、子どもの読書環境を改善」「司書教諭が不足している現状にかんがみ、その充実に取り組みます」と回答した。 日本図書館協会の松岡要事務
〈本の舞台裏〉晶文社が展示・フェア[掲載]2009年8月30日 文学、芸術を中心にコアなファンを獲得している晶文社が、来年2月に創業50周年を迎えるのを前に、1〜30日に、東京都民銀行神田支店(千代田区神田小川町)で、復刊本などを記念展示するほか、同7日から約1カ月、紀伊国屋書店新宿本店で希少本を集めた記念フェアを開く。 同社は60年に中村勝哉・先代社長と思想家の小野二郎が創業。60〜70年代に映画、ジャズ、ミステリー、海外文学などの評論で絶大な人気を博した植草甚一の著作を多数刊行するなど、背表紙のサイのマークとともに親しまれてきた。 だが、出版不況の厳しい風は、同社にも吹いているようだ。中村哲司社長によると、ここ数年はとくに売れ行きが厳しい状況が続いており、文芸一般書の新刊については、今までの半分以下の点数にまで減らすことにしたという。すでに準備していたラインアップも含め企画を見直してい
日本文芸家協会など文芸関連5団体が、国や地方公共団体に対し、公共図書館の予算増額などを求める声明を出した。 5団体は同協会のほか日本児童文学者協会、日本児童文芸家協会、日本推理作家協会、日本ペンクラブ。声明で(1)図書館予算の増額(2)専門知識をもつ図書館司書の増員(3)国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立を主張した。 作家側は従来、図書館が人気の本を多数購入し、貸すこと(複本問題)で、本が売れなくなっていると批判してきただけに、「共闘」へ路線変更したともとれる。 きっかけは04年3月に最終報告がまとまった日本図書館協会と日本書籍出版協会の共同調査だ。複本問題も確認されたが、日本翻訳文化賞、日本翻訳出版文化賞、サントリー学芸賞の受賞作品は合計でも、政令指定都市の図書館で1館平均0.2冊しかないなど少部数の「良書」の所蔵が少ない傾向が浮かび上がったという。 そこで、予算増額と鑑
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