SRE本を読んでからポストモーテムについて考えている。ポストモーテム(post-mortem)とは反省会、事後検討といった意味の言葉である。つまり、なにか予期せぬ失敗をしたときに書く文章だ。SRE本ではサーバシステム運用の文脈で使われた。 仕事でドキュメントは大事だ。喋って何かを決めたり、ふりかえっても、文章で蓄積しないと何も残らない。われわれソフトウェアエンジニアがよく書くのは、設計とか仕様についてのドキュメントだろう。だが、これらのドキュメントはしばしば陳腐化する。特に、仕様やソフトウェアの使い方、環境構築のドキュメントはすぐに内容が古くなる。こうしてわれわれは文章を書かなくなるのだが、どうやらポストモーテムは違う性質を持っている。 というのも、失敗を記録した文書は陳腐化しにくいのだ。なぜなら、過去に起こった事実を記録しているから。過去に起こったことを記述するので、原理的に内容を書き換