先日,『知識創造企業』(東洋経済新報社)などの著書で知られる一橋大学大学院教授の野中 郁次郎氏を取材した。野中教授は,ここ数年で日本企業は,日本企業ならではの良さを失ってきていると指摘する。 「多くの日本企業が,欧米の経営手法の発想へと傾きすぎた。特に,あまりに利益的な数字と個人の目標を結び付けすぎると,現場の感情的で主観的な目標は居場所を無くしてしまう。それでは組織は元気を失い,傍観者ばかりの集団になってしまう」。 もっと平たくいうと,トップダウンで利益目標を各部門に振り分けて目標を課し,その達成度を問い信賞必罰を下したところで,現場は大してやる気にならないのではないか,という指摘だ。そうしたやり方はボトムアップで目標を掲げてイノベーションを起こしてきた日本企業の良さを失わせる施策である,というわけだ。詳細は,日経情報ストラテジー4月号の特集「成果主義の失敗を乗り越えて」に掲載したが,こ