福島第1原子力発電所の事故に伴い、福島県から避難を余儀なくされた人たちが、避難先で心ない扱いを受ける事例が報告されている。 生命や健康被害への強い不安が根拠のない差別的な行動を生みがちなことは、感染症の流行などでもしばしば経験してきた。国難というべき状況下でこそ、節度を持った行動が社会に求められることを改めて認識しておきたい。 茨城県つくば市では「避難者の健康被害と市民の不安を取り除くため」として、福島県からの転入者に放射線測定器によるスクリーニングの証明書提示を求めていたことが発覚し、市は「配慮が足りなかった」と陳謝している。 この他にも、福島県民であることを理由に飲食店への入店やホテルの予約を断られたり、避難先の学校で「放射能がついている」と子供がいじめを受けたりするとんでもないケースが増えている。 住み慣れた土地を離れて避難生活を送る人たちは、国難の最前線で闘っている人たちでもある。