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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (5)

  • 報道の裏事情

    「北京の街の様子は今はどうですか?」 天安門でジープが炎上した事件の後、日からこう訊かれた。「なんともないです」「あ、回復したんですね」「いや、回復も何も最初からなにも変化していません。一時道路が渋滞し、最寄りの地下鉄の駅が閉鎖されましたが、そんなことしょっちゅうだし、ほとんど何も影響を受けていない市民の方が多いです」 ジープにはねられて亡くなった方、ケガをした方は当にお気の毒で言葉もないが、世界で最も知られている広場の毛沢東の肖像画の下で炎をあげて燃えるジープはあまりにも出来過ぎた構図で、それだけで世界中の人々の目を引いた。だが、この事件は意外なことに、天安門という場所は我々ガイジンが考えているほど中国人にとって「心のランドマーク」ではない、ということを暴露した。事件を知った人たちはみんな一様に驚いているが、精神的にショックを受けたなどという声は聞かなかったからだ。「天安門といえば日

    muchonov
    muchonov 2013/11/01
    ふるまいさんは複雑な現実をうまく文章に落とし込む。あと、こんな記事でも人の息づかいとか社会の多様性を捉えるのがうまい。
  • 歴史遺留問題

    今年の6月4日の夜、中国の80年代後半生まれの若者たちと会の約束をしていた。 「お、戦車の日だ」。それぞれの予定を繰り合わせてようやくこの日に決まった時、そのうちの一人がこの日が天安門事件24周年だと気がついてこう言った。「よし、一杯目の酒は地面に撒いて追悼しよう」、もう一人が言う。事件当時はまだ幼稚園児だったはずの彼らの口からさらりとこういう言葉が流れてきたことにちょっと驚いた。 彼らは皆、地方都市か、あるいは都市とも呼べない小さな街の出身者だ。偶然かもしれないが彼らは進学先も北京の大学ではなく、なんどか転職して今の北京の会社で一緒に働いている。そして、今後もまた時期を見て転職して分かれていくのだろう。中国の若者たちはひとところにずっと勤め続ける人の方が珍しい。 中国では天安門事件のことを公開の場で語るのはいまだにタブーだ。教科書にも一言、「政治動乱が起きた」としか書かれていないという

    muchonov
    muchonov 2013/08/20
    ともすれば一枚岩な集団へと単純化されがちな「○○人」の内側にある差異や摩擦や葛藤を、とはいえ叙情に流れることなく読者に見せてくれる、いまどき希有な記者さん。
  • 「心債」

    中国のネットに重苦しい雰囲気が広がっている。特に「発言する人たち」は今年国家主席になったばかりの習近平がぶちあげた「チャイナドリーム」とやらがいったいどんなものなのか見定めようとしてきただけに、今はなんともいえない煮えたぎるような怒りに身を任せつつ、それを吹き出させる方向を探しているようにも見える。 7月20日夕刻に北京国際空港第三ターミナルの到着ロビーで起こった手製爆弾事件。ちょうど夏休み、そして週末の夕刻ということで、空港に出迎えにやってきていた人も多かったのではないか。爆弾を作って持ち込んだ男の挙動はそれを引火させる前からそんな人たちの目を捉えており、引火と同時に写真や情報が中国国産マイクロブログ「微博」に飛び交った。 そして、その前に彼が配っていたというビラから、事件発生わずか30分もたたないうちにその身元が山東省に暮らす冀中星だと明らかになった。その速さには驚いたが、首都空港とい

    muchonov
    muchonov 2013/07/31
    登場するどの犯人も記者も、みんな固有の苦しみ・悩み・思いなどなどを抱える人間なのだという(考えてみれば当たり前の)ことが、それでもちゃんと透けて見える記事というのは、いまや貴重だし、ありがたくもある。
  • 物価と税金:庶民の気持ち

    先日、あるジャーナリストに誘われて会に出席した。そこには著名な時事雑誌の編集長と、ジャーナリストからスポーツグッズ企業の広報に転職し、現在はその企業の副社長という40代、さらに彼らの大先輩に当たる60代の某政府系メディアの論説員が同席した。誘ってくれたジャーナリスト氏もどちらかというと政府系メディアの人なので、無理のない顔ぶれだが、あまり政府系メディア、それもご重鎮のレベルとはご一緒することのないわたしは、ちょっと緊張した。 とはいえ、集まった人たちは昔からの知り合いらしく、あの話この話と、そこにいる異邦人のことを気にするでもなく、持ち込んだ白酒(シロザケ、ではなく、中国北方人が好んで飲むアルコール度40度以上のお酒のこと)を分けあい、賑やかに飲み、い、語り合っていた。そのほとんどが「誰がどうした、彼がどうした」的な業界話だったのだが、興味深かったのは話題が進むうちにスポーツグッズ企業

    muchonov
    muchonov 2013/07/01
    何が一番びっくりしたって、中国ではまだシャレードを新車で買えるんだってとこにです。夏利ってのがあるんだね。
  • 社員旅行で眺めた日本

    5月中旬、友人から携帯にメッセージが届いた。「日では日酒と、冷たいビールと、冷たい牛乳と、冷たいジュースと、冷たい水道水をそのまま飲んでも、わたしのお腹はなんともない! まだまだべたい飲みたいと思うくらい。中国ならそんなことをしたら1日もしないうちにバッタリだわ。ここは当に素晴らしい国!」 中国IT関連企業に勤めるチャンさんは、社員旅行で初めての日滞在中だった。毎日のように彼女から届く写真とメッセージを見て、6日間の滞在を終えて帰国したチャンさんにお願いして仲の良い同僚のシュウさん、モンさん、ビンさんに集まってもらった。チャンさんが得意げに温泉地から送ってきた写真に浴衣と丹前を上手に着こなして仲良く写っていた男性3人組だ。 残業で遅くなる、というビンさんを待たずに、4人で鍋を囲みながらおしゃべりが始まった。 ――旅行に参加したのは何人くらい? シュウ:うちの社員は20人、あと旅

    muchonov
    muchonov 2013/05/21
    「断交しろ」は一番損な選択肢だねー、って改めて感じる話。
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