1968年のまだ冬か春浅き頃のことだ。父が会社からシールのシートを一束持って帰ってきた。私は幼稚園の年少組から年中組に上がる頃。満4歳である。 シールは「ウルトラセブン」の番組宣伝用だった。父の勤める広告代理店は、TBS系列の日曜夜7時から30分間、大手製薬会社が単独でスポンサーをしていた番組枠を担当することを、大きな食い扶持ちにしていた。その枠で前年秋から放送されていたのが「ウルトラセブン」である。子供向きの枠だから子供に宣伝させるのが早道。私が友達にシールのシートを配る。そのために、父は宣材を家にときおり持ち帰ってきた。「ウルトラセブン」の前に同じ枠で放送されていた「ウルトラマン」や「キャプテンウルトラ」のときから、そうだった。 「キャプテンウルトラ」でも同様のシールがあった。「ウルトラマン」のときも似た宣材のあった記憶がある。一枚のシートに、何枚もの円形のシールが貼ってある。小さめの