父が死んだ。葬式もした。 喪主ではないし長々としゃべっても飽きられるだけだからここで自分の整理がてら、書いておこう。 父という人間のことはなんといって表現していいかいまだによくわからない。というのは母が強烈すぎるからである。 父は1940年代生まれの日本人男性である。出身地は西の方の川沿いの豊かとはいえない田舎町である。 6番目の息子である。工業高校に通うために下宿がてら養子に出されるまでは、兄の一人に小遣いや親の愛を搾取されていた。 (おそらくそのせいで自分へのいじめにはとてもドライである。いじめが嫌いだし、「ズルイ」という言葉も苦手である。) 工業高校卒業後は、工場のあった景気のいい化学系メーカーに就職した。読書が好きで(速読で)すこし本で勉強すればペーパーテストはたいてい受かる。 職場ではじまった国内留学のような制度の初年度生にえらばれて会社のカネで大学の化学科に進学した。 学費の足